研究成果03

誌上発表

誌上発表2012年(平成24年)

3.

Protection of immunized mice and swine to challenge exposure with Erysipelothrix rhusiopathiae strains obtained from recent swine erysipelas outbreaks in Japan.

Ho T., Tsutsumi, N., Tazumi, A., Kamada, T., Nagano, T., Nagai, S., Iwata, A. and Nunoya, T.
Nippon Institute for Biological Science
Acta Veterinaria Brno 82, 2013(in press)
Abstract: The aim of the study was to investigate the protective effect provided by immunization with commercial erysipelas vaccines in mice and conventional pigs to challenge with the field strains (serotype 1a) of Erysipelothrix rhusiopathiae. Sequence analysis of surface protective antigen (spaA) gene revealed that the strains were different from those reported previously. A total of 150 mice immunized subcutaneously with live or inactivated vaccines were protected against challenge exposure to one reference and four field strains. Ten conventional pigs immunized intramuscularly with inactivated vaccines developed specific antibodies against the SpaA protein of E. rhusiopathiae and were protected against challenge with two field strains. Our study is the first to demonstrate that the commercially available vaccines could protect animals against challenge with the most recently isolated SpaA-type strains of E. rhusiopathiae.

4.

鶏コクシジウム症の対策および今後の戦略

川原史也
日本生物科学研究所
鶏病研究会報48(3):185-192, 2012.
要旨:Eimeria原虫の感染によって引き起こされる鶏コクシジウム症は、現在の集約的な養鶏産業において極めて多大な経済的被害をもたらす疾病の一つである。多くの場合、飼料中に抗コクシジウム予防剤(飼料添加物)を混合して投与することによって発症を抑制している。予防剤は優れた有効性および安全性を有する上に低コストであるため、これまで予防対策の中心的役割を果たしてきた。近年は、新たな薬剤が上市されて更新されることもほとんど見られなくなったが、その一方で予防剤の代替法として注目を集め、普及するようになったのが生ワクチンである。鶏コクシジウム原虫を弱毒化する実用的な技術が確立され、より安全性を高めた生ワクチンが開発できるようになったためである。鶏の体内で早期に増殖する原虫集団のみを次代に用いる極めてユニークな継代方法を重ねて得られる系統は、早熟株もしくは早熟化弱毒株と呼ばれている。現行の鶏コクシジウム症生ワクチンの欠点の一つは、製造コストの削減に限界があることである。鶏コクシジウム原虫はin vitro培養することができないため、生ワクチンの製造に鶏生体を使用せざるを得ない事情による。今後、生ワクチンの有用性と製造コスト削減を両立する一つの手段は、多価鶏コクシジウム原虫ベクター型ワクチンであろうと考えられている。種毎に異なる防御抗原遺伝子をいくつも搭載し、かつそれらをまとめて発現する単一の鶏コクシジウム原虫を人為的に作出することができれば、全種に対する免疫をまとめて誘導することが可能となる。現段階では、組換え鶏コクシジウム原虫を利用した生ワクチンの開発は技術的にも障害が大きいが、将来は鶏コクシジウム症対策の主流になることは間違いない。

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