研究成果03

口頭発表

口頭発表2002年(平成14年)

1.

ミニブタにおけるアンチピリンの体内動態

斎藤敏樹、藤井哲夫、佐藤一雄、坂本裕二、渋谷一元、水谷誠、矢澤肇
日本生物科学研究所
第49回 日本実験動物学会

要旨:近年、ミニブタは異種移植、再生医療など医学分野での研究のほか、実験動物として薬効・薬理試験などにおいても利用され始めている。しかしながら、ミニブタの薬物代謝あるいは薬物動態に関する背景データはほとんど蓄積されていないのが現状である。そこで、我々はミニブタの薬物動態に関する背景データを得る目的で本実験を実施した。5ケ月齢のNIBS系ミニブタに肝酸化的代謝能のプローブとして知られているアンチピリンを静脈内投与した。投与後0.5、1、2および3時間に抗凝固剤としてヘパリンナトリウムを用いて採血した。血漿を分離した後、血漿中のアンチピリン濃度をHPLC法により測定し、ノンコンパートメント分析により動態パラメータを算出した。その結果、雌雄においてそれぞれ全身クリアランス(CLtot)は0.77±0.10および0.82±0.05L/h/kg、分布容(Vdss)は1.68±0.06および1.53±0.11L/kg、平均滞留時間(MRT)は2.19±0.23および1.88±0.05h、半減期(t1/2)は1.57±0.17および1.32±0.04hを示し、雌雄間で大きな差はみられなかった。またCLtotは、これまでに報告されている畜産用ブタあるいは他の動物種(ラット,ヒト,ウサギ)の値とほぼ同様の値を示した。現在、尿中のアンチピリン代謝物についても検討中である。以上の結果から、薬物代謝あるいは動態研究において、ミニブタは有用であると考えられた。

2.

実験動物における急性相反応下のCYP依存薬物代謝の変化

斎藤敏樹、秋山素子1)、下田実1)、小久江栄一1)
日本生物科学研究所、1)東京農工大
第29回 日本トキシコロジー学会
要旨:肝チトクロームP450(CYP)による薬物代謝は、感染症、炎症などの初期に生じる急性相反応により影響されることが報告されている。急性相反応は、外科処置あるいは頻回採血などによる炎症性刺激により誘発される可能性がある。本研究では、ウサギおよびイヌを用いて大腸菌リポポリサッカライド(LPS)により誘発された急性相反応が、CYPによる薬物代謝に及ぼす影響について検討した。【材料および方法】ウサギ(JW-NIBS)およびビーグル犬にLPSを投与し急性相反応を誘発した。対照群には生理食塩液を投与した。LPS投与後24時間に、テオフィリン、フェニトインおよびニフェジピンを静脈内投与し、血漿中濃度を測定し動態パラメータを算出した。LPS投与後28時間に肝臓を摘出後ミクロソームを調製し、ウサギにおいてCYP含量、カフェイン3-脱メチル化活性(C3D)、アミノピリンN-脱メチル化活性(AMD)およびアニリン4-水酸化活性(ANH)を、イヌにおいてCYP含量、エトキシレゾルフィンO-脱エチル化活性(EROD)、トルブタミド水酸化活性(TH)、S-メェニトイン4-水酸化活性(SMH)、ブフラロール1'-水酸化活性(BH)、テストステロン6β-水酸化活性(TSH)を測定し、VmaxおよびKmを求めた。また、ウェスタンブロッティング(WB)により対照群とLPS投与群のCYPアポ蛋白量を比較した。【結果および考察】ウサギおよびイヌともに、直腸体温およびIL-6あるいはIL-1βは、LPS投与後急速に上昇したことから、急性相反応の誘発が確認された。テオフィリン、フェニトインおよびニフェジピンのCLtotは、LPS投与群で対照群に比して有意な低値を示し、CYP含量、並びにAMD、ANH、SMH、BHおよびTSHのVmaxはLPS投与群で有意に低下した。また、WBにより、LPS投与群においてCYP1A1/2、2E1および2C8/9アポ蛋量の減少がみられた。AMD、ANH、SMH、BHおよびTSHは主にそれぞれCYP2C、2E、2C、2Dおよび3Aに依存すること、テオフィリン、フェニトインおよびニフェジピンはそれぞれCYP1A、2Cおよび3Aで代謝されることから、ウサギおよびイヌにおいて、急性相反応時にCYP活性が低下することが示唆された。

3.

Genetic Variations of Avian Infectious Bronchitis Virus Isolates in Japan

Zhifeng,Lin.(林志鋒)
Nippon Institute for Biological Science
139th American Veterinary Medical Association (AVMA) Annual Convention.

Abstract:To investigate genetic variations of avian infectious bronchitis virus (IBV) in Japan,125 IBVs which were isolated during the period from 1988 to 2001 were analyzed.A 400 base pair fragment of the S2 gene of each isolate was amplified by reverse transcriptase-polymerase chain reaction (RT-PCR) and characterized by restriction fragment length polymorphisms (RFLP).The isolates were classified into 19 genotypes and the majority of the genotypes were M-1 (29.6%),Y-4 (18.4%),BN (15.2%) and C-78 (12.8%) types.Among these,the M-1,Y-4 and C-78 types have been isolated since 1988,but the BN type isolation has been made only from 1997 onward.The restriction enzyme digestion profiles of these genotypes were far different from those of viruses which belong to Massachusetts or Connecticut serotype.The variations in the IBV genotypes will be discussed together with observation on the serological variations.

4.

ウシの大脳

平井卓哉
日本生物科学研究所
第43回 獣医病理学研修会

5.

鶏伝染性気管支炎の予防対策に関する基本的な考え方

井土俊郎、林志鋒
日本生物科学研究所
第134回 日本獣医学会(2002年)
要旨:最近の鶏病発生動向からみると、大きな経済的被害をもたらす急性感染症については、ワクチン接種を中心とした防疫対策によってほぼ制圧されている。しかし、鶏伝染性気管支炎(IB)に関しては依然として発生を繰り返している。これはIBウイルスの特性に因るところが大きい。本講演では流行株の性状解析、抗体調査及びワクチン供給量からみたIB対策とその問題点について述べる。【IBウイルスの流行】抗体により中和されにくい変異株が新たな流行株として登場してくるが、古い株も残る。病鶏から分離される野外株は種々な抗原性を持っているが、年代、地域によって流行株の浸潤度は異なる。野外の抗体調査から、1995年に関東地方で分離されたIBウイルスS-95株に対する抗体は東日本で陽転時期が早く、西日本で遅い傾向がある。これはワクチン接種による防疫対策に地域性を考慮することが重要であることを示している。【ワクチン接種と防御効果】IBの免疫に抗体が重要な役割を演じていることは、抗体価のレベルと産卵率低下予防効果あるいは呼吸器病変抑制効果との間に相関性が見られることから確認されている。適切なワクチン接種はIB予防に有効であるといえる。現在、我が国では11株の生ワクチン(合格総量/出荷雛総羽数=約2dose)と13株の不活化ワクチン(合格総量/(採卵鶏+種鶏羽数)=約1.5dose)が供給されている(2000年度)。採卵鶏では中雛期までの2-4回の生ワクチン接種と大雛期における1-2回の不活化ワクチン接種が一般的なIBワクチン接種プログラムとして採用されている。【まとめ】効果的なIB対策には流行株に近い抗原性を持った株の選択と種々な抗原性に対応できるワクチンを組み合わせることが重要となる。

6.

イヌ血清中には高い2',5'-オリゴアデニル酸合成酵素活性が存在する

岩田晃、山元哲、藤野美由紀、佐藤一郎、金井朋子、土屋耕太郎、宗川吉汪1)
日本生物科学研究所、1) 京都工繊大
第134回 日本獣医学会(2002年)

要旨:【背景】2',5'-オリゴアデニル酸合成酵素(OAS)はインターフェロン(IFN)によって誘導される酵素であり、IFNの抗ウイルス活性に重要な役割を担うと考えられている。血清中には微量のOAS活性が存在することが知られているが、イヌでは他の動物種の10~100倍のOAS活性が血清中に検出されたので報告する。【方法】実験用ビーグル犬は2ケ所、ネコは1ケ所のブリーダーより購入した。ウサギ、モルモットは日生研の実験動物施設で供給されたものを用いた。採血はネコを除いて、導入後の馴致期間終了後、試験開始前に行った。OAS活性は3H-ATPを基質とし、酵素産物をDEAEセルロースで分離する方法(DEAE法)もしくは特異的競合RIA(栄研化学(株))で測定した。【結果】イヌ18頭、ネコ12頭、ウサギ8頭、モルモット5頭より血清を調整し、DEAE法によりOAS活性を測定したところ、それぞれ、46.0±40.4、1.9±2.1、4.0±1.1、0.3±0.6nmol/dl/hの酵素活性を示した。イヌ及びネコ血清サンプルの酵素産物は競合RIAにより2',5'-オリゴアデニル酸であることを確認した。【考察】健常成人やマウスでは血清中に約0.2nmol/dl/hの活性があり、IFN投与により数倍に上昇することが報告されている。我々が調べたイヌの血清中のOAS活性はヒト、マウスのIFN投与時よりはるかに高い。他の動物種では血清中のOAS活性については報告がなく、イヌでの血清中のOAS活性の生理的意義は不明である。

7.

新しい馬インフルエンザワクチンのワクチン株の選定

今川浩、杉浦健夫1)、杉田繁夫、塩瀬友樹、松村富夫、工藤博史2)、橋本博之2)、眞壁祐樹2)
井土俊郎3)、草薙公一3)、桐田政夫3)、山崎憲一4)、銀永明弘4)、江副伸介4)
JRA総研栃木、1)JRA馬事部、2)千葉血清、3)日本生物科学研究所、4)化血研
第134回 日本獣医学会(2002年)
要旨:【目的】我々は世界的に流行している馬2型(H3N8)ウイルスの抗原変異にともなってワクチン株の変更を行い、現行ワクチンには馬1型(H7N7)としてNewmarket/1/77、馬2型としてKentucky/1/81(K株)とLa Plata/93(L株)を選択した。しかし、これらの馬2型はいずれもアメリカ型であり、最近の研究でワクチンにはヨーロッパ型株も組み入れることが必要となり、そのための最適ウイルス株の選定について検討した。【材料と方法】1996年までに分離された馬2型株について、HA1遺伝子について系統樹解析を行った。ワクチン候補株の発育鶏卵での増殖性、継代による抗原変異性を調べるとともに、試作ワクチンのマウスと馬に対する免疫原性およびそれらの免疫血清を用いてHIおよび中和試験による交差性を調べた。【成績】〔1〕系統樹解析でヨーロッパ型に属し、ワクチン株としての利用を条件に入手できたAvesta/93(A株)、Taby/91(T株)、Hong Kong/92(H株)、Italy/5/91(I株)の4株をワクチン候補株に選定した。〔2〕A、T、I株の発育鶏卵での増殖は良好で、H株は劣っていたが、4株とも継代による抗原変異はなかった。〔3〕4株のマウスにおける免疫原性はA株とT株が良好で、ついでI株で、H株は劣っていた。また、A株とT株の抗原性は類似しており、それらとH株およびI株とはやや異なっていた。〔4〕A株とT株の馬における免疫原性はほぼ同等であった。抗A株馬血清は抗T株馬血清よりもヘテロの株に対して交差性が高く、ワクチン株としてはA株がT株よりも優れていると考えられた。【結論】以上の成績から、今後開発されるワクチンには、K株に代わってA株を新たに組み入れるのが最適であると考えられた。

8.

Development of an ELISA based on the baculo-expressed capsid protein (Cp) of porcine circovirus type 2 (PCV2) as antigen

劉長明、伊原武志、平井卓哉、斎藤暢子、草薙公一、加藤哲雄、布谷鉄夫
日本生物科学研究所
第134回 日本獣医学会(2002年)

Abstract:【Purpose】The replicative form of PCV2 genome contains two large open reading frames,which have been shown to encode the virus capsid protein (Cp) and replication-associated protein.The Cp is a major structural protein of the virus;it can be a suitable target antigen for diagnosis.【Materials & Methods】To produce the antigen the Cp gene was amplified by PCR,and inserted into a transfer vector.A recombinant baculovirus was constructed with a mixture of the transfer vector and linearized baculovirus DNA.【Results & Discussion】A 32.8 kDa of recombinant Cp was synthesized in the sf-21 cells infected with the baculovirus and recognized with PCV2-specific antibodies in Western blotting.The Cp was purified by affinity chromatography with a yield of 1.9mg/108 cells and 92% purity.An ELISA based on the purified Cp as antigen was developed for detecting antibodies to PCV2.The ELISA was evaluated with 49 negative and 49 positive sera from pigs before and after infection with a PCV2 isolate,respectively.The assay achieved 100% specificity and 98% sensitivity.In comparative experiments with 102 sera from commercial pig herds,there was 90% agreement between data obtained by the ELISA and immunoperoxidase monolayer assay (IPML) developed previously.No cross-reaction to the antisera of PCV type 1,parvovirus and porcine reproductive and respiratory syndrome virus was detected in the ELISA.The baculo-expressed Cp is a suitable antigen for the ELISA to diagnose PCV2 infection.

9.

不活化ワクチン接種鶏におけるSalmonella Enteritidis介卵感染の抑制

永野哲司、長井伸也
日本生物科学研究所
第134回 日本獣医学会(2002年)

要旨:【緒言】採卵鶏群におけるSalmonella Enteritidis(SE)の感染防止は、食品としての鶏卵の安全性確保のために重要な課題である。諸外国では鶏に対するワクチンが広く適応され、その効果は十分に認知されているところである。そこで、不活化ワクチン注射鶏におけるSE介卵感染の抑制について調査した。【材料及び方法】12週齢のSPF鶏30羽を供試し、同羽数ずつワクチン群と対照群に分けた。ワクチン群には12及び16週齢時にW/O/W型オイルエマルジョン不活化ワクチンを0.25mlずつ筋肉内に注射した。23及び25週齢時に両群にSEの生菌を経口接種して攻撃し、以後経時的に採卵し、卵内容からSEの培養を行った。28週齢時に全羽剖検し、肝臓、脾臓、盲腸、卵巣及び卵管から菌検出を行った。抗体検査は、経時採血血清及び21~22週齢時の産出卵について、ヒナ白痢急速診断用菌液を抗原としたマイクロタイター法により行った。【結果】攻撃から剖検までの期間に採取した卵において、ワクチン群では495個中9個、対照群では522個中41個にSEが検出され、汚染卵数はワクチン群で有意に低下した。剖検後の菌分離では、ワクチン群では検査した全ての臓器でSEの検出は陰性であったが、対照群では4羽の盲腸便からSEが検出された。抗体検査では、ワクチン群の第2回注射後2週に平均抗体価1612倍と高い抗体価となった。ワクチン群の卵黄材料には40~320倍の抗体価が検出された。【まとめ】不活化ワクチンは、接種鶏及び産出卵内に高い抗体を誘導し、結果として感染鶏における鶏卵へのSEの移行を抑制できることが実験的に確認された。

10.

馬ピロプラズマ症のELISA診断法の開発

土屋耕太郎、佐藤一郎、金井朋子、片山芳也1)、角田勤2)、安斉了1)、和田隆一1)、杉本千尋3)
小沼操4)、上田進
日本生物科学研究所、1)JRA総研・栃木、2)北里大、3)帯広畜産大、4)北海道大
第133回 日本獣医学会(2002年)

要旨:【背景と目的】馬ピロプラズマ症(Babesia equi及びBabesia caballi感染症)の血清診断法としては、通常、補体結合(CF)反応または間接蛍光抗体法が用いられているが、抗原作製における煩雑性や、検出感度などに問題があるとされている。そこで、より簡便で検出感度の高い診断法の開発を目的として、組換え蛋白質を用いたELISAによる血清診断法の開発を行った。【材料と方法】B.equiについてはメロゾイト主要抗原(EMA-1)、B.caballiについては第125回本学会で川瀬らが報告したB.cA2のC末端側108アミノ酸残基部分(105-212)を、バキュロウイルス/昆虫細胞の系を用いて発現させた。得られた蛋白質をELISA抗原として、感染馬血清及び正常馬血清との反応性を検討した。また、実験感染馬経過血清を用い、ELISA値とCF抗体価との相関性についても検討を加えた。【結果と考察】正常馬血清198検体に対しては、いずれの抗原においても特に高い非特異反応は認められなかった。一方、感染馬血清を用いた試験では、各々の抗原の間での交叉性は認められず、それぞれ特異的な反応を示した。実験感染馬経過血清を用いた試験では、いずれも、CF抗体の出現に呼応してELISA抗体の出現が認められ、さらに感染の経過に伴ったCF抗体価とELISA値の推移は類似していることが示された。以上より、本研究で確立したELISA法は、B.equi及びB.caballiの血清診断において、有用な診断法であると考えられる。

11.

Babesia caballi感染症のELISA診断:抗原エピトープ解析

金井朋子、佐藤一郎、土屋耕太郎、杉本千尋1)、安斉了2)、上田進
日本生物科学研究所、1)帯広畜産大、2)JRA総研・栃木
第134回 日本獣医学会(2002年)

要旨:【背景と目的】Babesia caballiによる馬ピロプラズマ症の診断において、我々は、第125回本学会で川瀬ら(北大)が報告したB.caballi抗原(B.cA2)を用いたELISA法が有用であることを見出した。そこで本研究では、B.cA2について、詳細なエピトープ解析を行ったので報告する。【材料と方法】B.cA2遺伝子がコードする212アミノ酸の全長、あるいはC末端側108残基部分(105-212)をそれぞれバキュロウイルス/昆虫細胞の系で発現させELISA抗原とし、B.caballi感染馬血清との反応性の比較を行った。さらに、B.cA2 105-212について16残基ずつ24個のペプチドを合成しエピトープ解析を行った。また、N末端側に含まれる繰り返し配列についてもペプチドを合成し、合わせて検討した。【結果と考察】B.cA2 1-212あるいは105-212を抗原としたELISAでは、いずれもB.caballi感染馬血清と同様の特異反応を示した。そこで、主要な抗原エピトープが存在すると考えられるB.cA2 105-212についてエピトープ解析を行った結果、アミノ酸残基177-192に強い抗原性が認められた。一方、N末端側に含まれる繰り返し配列を構成するアミノ酸12残基には抗原性は認められなかった。実験感染馬経過血清を用いたELISAでは、B.cA2 177-192合成ペプチドを抗原とした場合も、B.cA2 1-212あるいは105-212を抗原とした場合と同様、感染経過に伴ったELISA値の上昇が認められた。今後、B.cA2 177-192の野外感染馬血清に対する反応性の検討、及び他のバベシア属原虫における相同配列の検索を行う予定である。

12.

無毒変異型パスツレラ毒素の作出とワクチン成分への応用

To Ho、柏本孝茂1)、染野修一、長井伸也
日本生物科学研究所、1)北里大
第134回 日本獣医学会(2002年)
要旨:【目的】豚伝染性萎縮性鼻炎(AR)の主因のひとつにPasteurella multocidaが産生する毒素(PMT)がある。現在市販のARワクチンにはトキソイド化したPMTが含まれるが、P.multocidaが産生する毒素量は少量で、精製も困難である。そこで、より高品質のPMTを十分量含有するワクチンの開発を目的として、遺伝子組換え技術による無毒変異型毒素の作出を試みた。【材料と方法】変異型毒素の作出:PMT遺伝子に部位特異変異を導入し、毒素のC末端近傍に位置する連続した2アミノ酸を置換した。これを大腸菌で発現させ、陰イオン交換カラムクロマトグラフィーにより精製した。毒素活性の検出:モルモットの皮内接種による壊死斑形成反応及びマウスの腹腔内接種による致死活性変異型毒素の免疫原性:5週齢のSPF豚5頭を使用し、3頭には変異型毒素を1頭当たり16μgタンパク量、水酸化アルミニウムゲルとともに3週間隔で2回免疫した。2頭は非注射対照とした。最終免疫後2週に野生型のPMTを筋肉内に注射して攻撃し、2週後に剖検して鼻甲介萎縮の程度を肉眼的に観察した。【結果】変異型毒素に毒素活性は検出されなかった。毒素攻撃後、対照豚はすべてAR病変を形成したのに対し、変異型毒素免疫豚に病変は認められなかった。PMTに対するELISA抗体が、免疫豚の攻撃前血清に検出された。【考察】毒素のC末端近傍に位置する連続した2アミノ酸の置換により、毒素活性は消失した。変異型毒素は野生型毒素と同等以上の免疫原性を示したことから、ARワクチンの成分として利用価値が高いと考えられた。

13.

豚回虫症のELISA法による診断のための抗原検討

高島美雪、鹿江雅光、近江弘明、渡邊忠男、長井伸也1)
東京農大、1)日本生物科学研究所
第134回 日本獣医学会(2002年)

要旨:【背景】豚回虫の感染による豚の肝白斑はと場でしばしば検出され、経済的に被害が認められる疾病である。本症摘発のため、感度の高い迅速な血清診断法の開発が望まれている。【目的】ELISA法に使用するため、豚回虫雌成虫各部位の抗原性を検討し、実用に供せるような抗原成分を明らかにする。【材料と方法】豚回虫雌成虫の磨砕抗原液を準備し、ELISA法を実施した。まず、抗原濃度および血清希釈度について検討した。次いで、主要臓器別にそれらの抗原力価を検討した。さらに、SDS-PAGE処理による抗原液の検討も実施した。【結果および考察】本反応における最適な抗原濃度は5~10μg/mlで、比較的高いELISA値が得られた。次に、血清希釈については200~400倍に希釈した場合、明らかな差が認められた。臓器別に作成した抗原液を検討したところ、著しい差は見られなかったが、抗原液の収量およびその後の処理に関して、卵巣磨砕液が実用的であると思われた。さらに、濃縮法を検討したところ、硫安塩析処理抗原が安定して高いELISA値を示した。卵巣磨砕液をSDS-PAGE後、出現各成分を抽出し、ELISA値を検討した。その結果、約72kDaと100kDaの両成分が比較的高い値を示した。今後、さらに両抗原の検討を進め、実用的な診断用抗原を明らかにしたい。

14.

東京都の野生イノシシにおける疥癬の研究 -1.疫学調査-

神田栄次、柴田明子1)、森田達志1)、春田憲一1)、池和憲1)、今井壮一1)、布谷鉄夫2)
東京野生生物研究所、1)日獣大・獣医寄生虫、2)日本生物科学研究所
第134回 日本獣医学会(2002年)

要旨:近年日本の各地で野生動物における重度の疥癬が目撃されている。東京西多摩地域においては1989年よりタヌキにおける爆発的な疥癬の流行が認められたが、2000年より同地域のイノシシにおいても被毛に異常のある個体が目撃されるようになったことから、その現状について疫学的調査を行ったので以下に報告する。【材料および方法】2000年1月より2002年5月にかけて大型動物専門の狩猟者、市町村担当部署および地域住民を対象に、東京西多摩地域およびその近隣地域における被毛異常個体の目撃、捕獲情報の聞き取り調査を行った。調査期間中に捕獲、収容された異常個体中25頭については皮膚からの虫体採取を試みた。【結果および考察】被毛に異常の見られる個体は2000年から2001年にかけて檜原村、奥多摩町、あきる野市および青梅市において少数例が初めて目撃された。2002年、異常個体の目撃および捕獲地域はさらに2市町に拡がり、多数の異常個体が東京都内におけるイノシシ生息地全域に認められるようになった。調査期間中に捕獲、収容された異常個体25頭中24頭から疥癬虫が分離されたことから、東京都内で広範に目撃された被毛に異常のある個体は疥癬であることが強く示唆された。1997年に実施された環境庁による野生動物疥癬の全国的な聞き取り調査では、疥癬様症状のイノシシはおもに関西以南に目撃されており関東では唯一山梨県で2件のみ目撃情報があったとしている。本調査中、東京都近隣の神奈川県、埼玉県および群馬県においても被毛に異常のみられるイノシシが多数目撃されており、関東地域において比較的短期間に本疾病が広範に拡大したことが示唆された。

15.

東京都の野生イノシシにおける疥癬の研究 -2.寄生虫学および病理学的研究-

柴田明子、神田栄次1)、春田憲一、森田達志、池和憲、今井壮一、布谷鉄夫2)
日獣大・獣医寄生虫、1)東京野生生物研究所、2)日本生物科学研究所
第134回 日本獣医学会(2002年)

要旨:近年全国的に野生動物における重度の疥癬が蔓延している。我々はこれまでに東京都における中型食肉動物における疥癬について報告しているが(第126回本学会発表)、数年前より重度の皮膚症状を呈するイノシシが目撃されるようになった事から、その寄生虫学的および病理学的検索を行ったので以下に報告する。【材料および方法】材料は2002年1月から3月にかけて東京都西多摩地域にて収容されたイノシシで皮膚症状が観察された斃死体18頭(成獣雌4頭,幼獣14頭)である。病変部の皮内より寄生虫体を採取し常法に従って詳細な形態の観察を行った。また、皮膚および内部諸器官における異常の有無を観察し病理組織検査を実施した。【結果および考察】観察個体中17例においてセンコウヒゼンダニSarcoptes scabieiが検出され、その形態学的特徴は過去の報告にあるS.scabiei var.suisと一致した。ダニの寄生が認められたイノシシは頭部から臀部にかけて広範におよぶ脱毛および痂皮の形成が観察され、痂皮は厚いものでは10mmほどの厚さにおよんだ。組織学的に痂皮形成部では著しい錯角化、多数のダニと虫道形成ならびに細菌の増殖象などがみられた。表皮は不規則に肥厚し、ダニは表皮浅部から深部にかけて観察された。これらのことから今回観察された重度の皮膚病変は大量のダニの寄生と二次的な細菌感染により引き起こされたものと考えられた。ブタにおいてこの様な全身性の病状は少ないとされている。また同様の全身性の著しい過角化を示すヒトのノルウェー型疥癬では免疫低下などによって発症する事が知られているが、今回の症例においては重度疥癬の誘因を示唆する病変は観察されず、今後も本疾病の病態発生について詳細な検討が必要であると思われた。

16.

GUJ0040:a Z chromosome-specific microsatellite marker in Japanese quail

Boniface, B. Kayang, Inoue-Murayama,M., Hoshi,T., Matsuo,K., Takahashi,H.1), Minezawa,M.1), Mizutani,M.2) and Ito,S.
Faculty of Agriculture,Gifu University,1)National Institute of Agrobiological Sciences,
2)Nippon Institute for Biological Science
28th International Conference on Animal Genetics 2002
.
Abstract:Japanese quail (Coturnix japonica) is one of the economically important members of the family Phasianidae used widely as a laboratory research animal and a pilot animal for poultry because of its advantages of small body size,rapid generation turnover,high egg production and inexpensive rearing requirements.In order to construct a molecular genetic linkage map for Japanese quail we isolated and characterized 100 microsatellite markers.Genotyping revealed that one marker,GUJ0040,was heterozygous in males only.In a random sample of 26 males and 58 females,heterozygosity was observed in 8 males,while all females were hemizygous.These results suggest that GUJ0040 is on the Z chromosome.Furthermore,cross-species amplification of this marker was observed in chicken (Gallus gallus),guinea fowl (Numida meleagris),ring-necked pheasant (Phasianus colchicus),and Asian blue quail (Coturnix chinensis),and the genotyping results in these species were consistent with those in Japanese quail.This indicates that GUJ0040 would be useful for mapping the Z chromosome in the family Phasianidae.Recently,two plumage color loci in Japanese quail,albino (AL) and brown (BR),have been reported to be linked to the Z chromosome with a recombination frequency of 38.1 cM.Thus,to determine the relative position of GUJ0040 by linkage analysis,three-point cross experiments among ALBR and GUJ0040 loci are now in progress.

17.

AFLP法を用いたニホンウズラの連鎖地図作成

菊池真一、藤間大介、水谷誠1)、万年英之、辻荘一
神戸大・農、1)日本生物科学研究所
第3回 日本動物遺伝育種学会

要旨:【目的】ニホンウズラは食卵や食肉を生産する重要な家禽としてばかりではなく、実験動物やモデル動物としてもその用途が広く貴重な動物である。しかし、その連鎖地図はまだ作成されていない。遺伝連鎖地図の構築は遺伝解析の基礎情報として重要であり、生物種間での染色体の進化を研究する上で有用である。本研究ではAmplified Fragment Length Polymorphism(AFLP)法を用いたニホンウズラの遺伝連鎖地図作成を目的とした。【方法】(財)日本生物科学研究所で維持されているニューロフィラメント欠損症系統のオス(Quv系)と筋ジストロフィー発症系統のメス(LWC系)での戻し交配により作出された家系を供試した。戻し交雑個体は50個体を用いた。ゲノムDNAは赤血球より精製し、AFLP法は定法に従い、制限酵素にはEco RIMse Iを用いた。プライマーは3塩基選択的プライマーを用い、53セット使用した。連鎖解析には解析プログラムMapmanager QTXb11を使用し、LOD score2の閾値で連鎖群を作成した。【結果】AFLP法により得られたマーカー数は298であった。また、ニューロフィラメント欠損症と筋ジストロフィーの表現型を併せて計300マーカーを用い連鎖解析を行った。連鎖解析の結果、271マーカーが34連鎖群を形成し、29マーカーが連鎖を示さなかった。最大の連鎖群は38マーカーから構成され地図距離は117.3cMであった。ニューロフィラメント欠損症の表現型は5つのAFLPマーカーと1連鎖群を形成した。現在のところ、筋ジストロフィーの表現型とは連鎖を示すマーカーは観察されなかった。今後さらにマーカー数を増やし、連鎖解析を行う予定である。

18.

AFLP法を用いたニワトリ高密度連鎖地図

李恩俊、浦辻秀弥、吉澤奏子、万年英之、菊池建機1)、水谷誠2)、辻荘一
神戸大・農、1)精神神経センター、2)日本生物科学研究所
日本家禽学会2002年度春季大会

要旨:【目的】ニワトリ筋ジストロフィー(Am)の原因遺伝子の解明を目的とし、AFLP法を中心として、高精密のニワトリ連鎖地図作成を試みた。【方法】Am遺伝子をホモで持つファイオミ種OPN系雌1羽に白色レグホン種WL-系の雄1羽を交配して作成したF1の雌1羽に父親を戻し交雑して55羽のヒナを得て、連鎖解析の家系を構築した。1077個のマーカー(947個AFLPマーカー,118個マイクロサテライト・マーカー,6機能遺伝子マーカー,Amの表現型,血液型,性格)を用い、Mapmanager Xpb10とMapmaker V2.0を用いて連鎖解析を行った。【結果】合計46連鎖群からなる神戸大ニワトリ連鎖地図(KU map)が構築された。その内、27連鎖群は染色体との対応がついた。残りの連鎖群の染色体との対応は今後の課題である。KU mapの全長は約4572.3cMで、マーカーの平均間隔は4.8cMであった。この地図の密度や染色体との対応の状況は既存のマップに対比し得る水準である。Am遺伝子は第2染色体のq腕に位置付けられたほか、Mitochondrial aconitese(Mt-Aco)が第1染色体p腕、Ornithine transcarbamylase(OTC)が第1染色体q腕、Carbamoyl phosphate synthetase Ⅰ(CPSⅠ)が第7染色体に位置付けられた。これらの結果はFISH法による結果と一致した。この連鎖解析家系DNAを日本のみならず、外国の研究者にも開放します。したがって、ニワトリの遺伝子のcDNAやゲノムDNAをクローニングされた研究者で、それらを染色体上に位置付けることに興味のある方には、DNAを無償で分与しますので、ニワトリの遺伝子のマッピングに利用して下さい。連鎖解析は当方で、迅速に対応します。

19.

ニワトリ筋ジストロフィー候補遺伝子としてのSDC2とGEM遺伝子のクローニング

稲葉恭子、吉澤奏子、万年英之1)、菊池建機2)、水谷誠3)、辻荘一1)
神戸大院自然科学、1)神戸大・農、2)国立精神神経センター、3)日本生物科学研究所
第52回 関西畜産学会

要旨:【目的】ニワトリ遺伝性筋ジストロフィーは40年以上前からその存在が知られているにもかかわらず、疾患原因遺伝子はまだ明らかにされていない。我々は連鎖解析の結果から、この疾患遺伝子はニワトリ第2染色体q腕上に存在することを示唆した。また、比較染色体地図分析によりニワトリ第2染色体q腕とヒト第8染色体q腕の間でsyntenyが認められ、ヒト第8染色体q腕の機能遺伝子が本疾患原因遺伝子である可能性が示唆された。そこで本研究では、この領域に存在する機能遺伝子であるSyndecan2(SDC2)遺伝子とGem GTPase(GEM)遺伝子クローニングを行い、疾患遺伝子であるか否かを明らかにすることを目的とした。【方法】マウスSDC2とGEMプローブを用い、ニワトリcDNAライブラリーからスクリーニングを行った。また5'RACE法も併用しこれら遺伝子の塩基配列を決定した。神戸大リソースファミリーの両親間においてこれらの遺伝子の多型を探索し、連鎖解析によるニワトリ染色体上への位置付けを試みた。【結果】ニワトリSDC2遺伝子は201アミノ酸残基からなり、ヒトとの相同性は86.1%であった。リソースファミリーに対する多型探索の結果、第3イントロンにおいて多型が観察された。この多型を利用し連鎖解析を行った結果、SDC2遺伝子はニワトリ第2染色体q腕のCALB1から15.7cM遠位側、RPL30より0.9cM近位側に位置付けられた。これに対し、ニワトリ筋ジストロフィーの表現型はSDC2よりも11.5cM近位側に位置した。このことから、SDC2は筋ジストロフィーの原因遺伝子ではないことが示された。ニワトリGEM遺伝子は297アミノ酸残基からなり、ヒトとの相同性は88.6%であった。現在、イントロンを中心に多型探索を行っており、原因遺伝子の可能性を検討中である。今後、ニワトリ筋ジストロフィーの原因遺伝子を同定するためには、この領域に存在する候補遺伝子のクローニングや位置付けを行うと共に、この領域の機能遺伝子をさらに多く位置付け、高密度な連鎖地図を構築することが重要だと考えられた。

20.

SPECTRAL SENSITIVITY FUNCTION DETERMINED BY THE ERG IN GSN/1 CHICKEN

YAMAZAKI,H., MIZUTANI,M.1), SHIBUYA,K.1), KAWABATA,H.2) and ADACHI-USAMI,E.2)
National Center of Neurology and Psychiatry,1)Nippon Institute for Biological Science,
2)Chiba University
40th International Society for Clinical Electrophysiology of Vision
.
Abstract:【Purpose】GSN/1 chickens are the strain in Fuyoumi family,developed by the Nippon Institute for Biological Science.A behavioral study suggests that they have lower visual acuities and a pathological study reveals that the numbers of the retinal ganglion cells in GSN/1 chicks are significantly smaller.This study was undertaken to analyze the spectral sensitivity in GSN/1 chicks as measured by electro-retinogram (ERG).【Methods and Materials】ERGs were recorded with monochromatic light,ranging from 480nm to 640nm.The intensity of the stimuli was decreased with neutral density filters.Six male GSN/1 chicks and six male GSP normal controls were used.【Results】The threshold of the ERG b wave for each wavelength was obtained by interpolating the amplitudes of the b waves vs intensity of the stimuli to 0μV.The relative spectral sensitivity curves were obtained.The maximum sensitivity for the GSP chicks was at the 560nm stimuli.No significant differences were observed between the relative sensitivity for 540nm stimuli and that for 580nm stimuli.The maximum sensitivity for the GSN/1 chicks was displaced towards longer wavelengths.The relative sensitivity for 540nm stimuli was significantly lower than that for 580nm stimuli in GSN/1 chicks.【Conclusions】The spectral sensitivities in GSN/1 chicks had color abnormality in some extent as well as visual acuity.

21.

CROSS-SPECIES AMPLIFICATION OF MICROSATELLITE LOCI IN JAPANESE QUAIL,CHICKN AND GUINEA FOWL.

B.B.Kayang, Inoue-Murayama,M., Hoshi,T., Matsuo,K., Takahashi,H., Minezawa,M., Mizutani,M.1) and Ito ,S.
Faculty of Agriculture,Gifu University,1)Nippon Institute for Biological Science
7th World Congress on Genetics applied to livestock production 2002.

Abstract:100 Japanese quail and 28 chicken microsatellite markers were isolated and characterized to determine their utility as cross-reactive markers for comparative genetic mapping in the family Phasianidae.Japanese quail markers were tested on chicken and guinea fowl DNA and cross- reactive markers were typed on 20 chickens and 20 guinea fowls,respectively.Chicken markers were also tested on quail and guinea fowl DNA.42.0% of the quail markers cross-reacted in chicken and 20.0% in guinea fowl.5 out of 15 markers that cross-reacted in the three species were polymorphic in all three species.39.3% of the chicken markers cross-amplified in quail and 7.1% in guinea fowl.The cross-reactive markers described would serve as a useful resource base for comparative genetic mapping in the family Phasianidae.

22.

Development of microsatellite markers from a heart cDNA library in Japanese quail

Mannen,H., Murata,K., Mizutani,M.1) and Tsuji ,S.
Kobe University,Faculty of Agriculture,1) Nippon Institute for Biological Science
28th International Conference on Animal Genetics 2002
.
Abstract:Japanese quail (Coturnix japonica) has been used not only for meat and egg producer but also as a model animal for poultry because of its small size,short generation intervals and high egg production.However,linkage map of Japanese quail has not been developed yet.Nevertheless,the expressed sequence markers are becoming important for comparative mapping studies.In this study we isolated microsatellites from a Japanese quail heart cDNA library using a (CA/GT)n repeat as probe.After screening from 200,000 cDNA clones,37 of the clones gave strongly positive signals and subsequently were isolated,purified and sequenced.From the 37 positive clones showed a high percentage of sequence homology with sequences from other species present in the International DNA database.Of the clones were complete (CA/GT) repeats,and 27% were incomplete repeats.The number of (CA/GT)n repeats in these clones varied from 11 to 31.The average number of repeat units was 17.6.These markers will be tested for polymorphism to Japanese quail reference families,which we are constructing.These expressed functional genes including microsatellite would be useful markers for studying comparative mapping when the linkage map of Japanese quail is constructed in the near future.

23.

日本ウズラの心臓cDNAライブラリーに由来するマイクロサテライトマーカーの開発

村田佳代、万年英之1)、水谷誠2)、辻荘一1)
神戸大院自然科学、1)神戸大・農、2)日本生物科学研究所
第100回 日本畜産学会

要旨:【目的】日本ウズラは家畜のみならず、実験動物やモデル動物としてもその用途が広く貴重な動物である。にもかかわらず、その遺伝子地図作りは遅々として進んでいない。本研究では機能遺伝子のマッピングを行うため、心臓cDNAライブラリーからマイクロサテライトマーカーの開発を行った。【方法】日本ウズラ心臓cDNAライブラリー(GT)n をプローブしてスクリーニングを行い、ポジティブクローンについて、5'および3'末端より部分的にシーケンスを行った。次いでデーターベースを用いたホモロジー検索により遺伝子の同定を行った。【結果】20万個のcDNAクローンに対すてスクリーニングを行ったところ、37のポジティブクローンが得られた。これらのクローンについてシーケンスを行ったところ、19のクローンがデーターベースに登録されている遺伝子との高い相同性を示した。このうち6クローンは同一の遺伝子であり、計13の遺伝子が同定された。また、13のうち6遺伝子では(GT/CA)n が確認された。マイクロサテライトが認められない、あるいは遺伝子同定が出来ない理由としては、部分的にしかクローンのシーケンスを行っていないためと考えられる。これらのクローンに対しては他領域のシーケンスを継続中である。

24.

白毛色ミニ豚における代謝率と維持エネルギーについて

神尾章子、小牧弘、山本弥生、神崎博子、藤森祐子、五味きみえ、椎村絵美、村田保徳、
基常智之、山田武史、矢澤肇1)、水谷誠1)、小松和英1)、松村芳秀1)
日本大学生物資源科学部、1)日本生物科学研究所
第4回 ペット栄養学会

要旨:ミニ豚の基礎代謝エネルギー(BER)と維持エネルギー(MER)の関係を明らかにし、維持飼料を算出する基礎を確立した。供試動物は白毛色ミニ豚9頭を一区3頭配し、3種の不断給餌飼料を作成して6ケ月間飼育し、毎月1回消化試験を行い各成長段階の養分要求量を算出した。その後、可消化エネルギー(DER)とメタボリックボディサイズ(BW^0.75)からミニ豚のBERを算出し、維持エネルギーとの関係を明らかにした。結果、MER要求量はBER要求量の1.6倍(3区平均)という値を示唆した。この値は産業豚と同様な傾向を示し、成長するにつれて緩やかに低下傾向を示し、次の関係式が得られた(Y=-0.907logX+3.742577n=75,P<0.01,r=-0.5663)。また産業豚の体重に対する係数とミニ豚の係数を比較すると妊娠豚以外はミニ豚の係数が低い値を示し、ミニ豚の育成期のMER要求量は産業豚ほど必要としないことを示唆した。

25.

イヌインターフェロンβおよびγの組換えワクチニアウイルスによる発現

西川義文1),2)、岩田晃3)、玄学南1)、勝俣淳3)、長澤秀幸1)、五十嵐郁男1)、藤崎幸蔵1)
大塚治城2)、見上彪4)
1)帯広畜産大・原虫研、2)東京大学農学部、3)日本生物科学研究所、4)日本大学生物資源科学部
第75回 日本生化学会

要旨:【目的】イヌインターフェロン(IFN)βおよびγを発現する組換えウイルスベクターを開発し、イヌ用ワクチンに応用する。【方法】イヌIFN-βおよびγ遺伝子はワクチニアウイルスLC16mo株のtk遺伝子部位に常法に従い挿入し、組換えウイルス(vv/cIFN-β,vv/cIFN-γ)を得た。組換えウイルスはウサギ腎細胞(RK13)を用いて増殖、クローニングした。イヌIFN活性はイヌ腫瘍細胞(A72)とVSVを用いて定量した。【結果】vv/cIFN-βをウサギ腎細胞(RK13)もしくはイヌ腫瘍細胞(A72)に感染させると、それぞれ、53000、5000LU/mlのIFN活性が生産され、vv/cIFN-γを感染させたRK13、A72細胞では、それぞれ、68000、100LU/mlのIFN活性が検出された。生産されたIFNはイヌヘルペスウイルス、イヌアデノウイルス1型のMDCK細胞での増殖を阻害したが、IFN-γの方がより高い抗ウイルス活性を示した。両組換えウイルスともRK13細胞では親株と同じように増殖し、moi=5でA72細胞に感染させたときも差がなかったが、A72細胞でmoi=0.01で感染させた時、親株に比べ増殖が抑制された。【結論】IFN遺伝子を組み込んだワクチニアウイルスは自殺型ウイルスベクターとしての応用が考えられた。

26.

A quail model, F1(AWE×WE), to evaluate sex reversal effects of endocrine disrupters in eary development

Shibuya,K., Mizutani,M., Itabashi,M., Satou,K. and Nunoya,T.
Nippon Institute for Biological Science
53rd Annual Meeting of the American College of Veterinary Pathologists,2002.

Abstract:F1(AWE×WE) Japanese quails (Coturnix coturnix japonica) have been produced by mating between male AWE (albino plumage color) and female WE (wild plumage color) strains of Japanese quails.The male and female F1 quails exhibit exactly wild and albino phenotypes,respectively,ruled by a criss-cross inheritance.We investigated usefulness of the F1(AWE×WE) quails in sex reversal effects of sex hormones in early development.F1(AWE×WE) eggs were received 17 beta-estradiol (E2) or methyltestosterone (MT) at 0,20,200,2,000,and 20,000 ng/20 micro-L corn oil just before the incubation.At 16-day of incubation,embryos were phenotypically observed and necropsied.Testes and ovaries were examined histopathologically.Survival rates of the embryos were not significantly different between the control and all E2 groups,and the control and the 20,200,and 2,000 ng MT groups.Grossly,the genetic sex (plumage colors) completely coincided with genital organs (testes and ovaries) in all F1 embryos of the control group.Histopathologically,ovotestes were detected in the left gonad of F1 male embryos in the 200 ng and more E2 groups.E2 exposure resulted in a dose-dependent increase in the feminization of the left testis.No ovotestes were detected in all F1 male embryos of all MT groups.E2 and MT exposure induced no noticeable changes in ovaries of any F1 female embryos.The present study suggests that F1(AWE×WE) quails are useful to evaluate feminization effects of the estrogenic disrupters.

27.

Molecular architecture for transcription and replication of influenza virus

Honda,A.1),2), Mizumoto,K.3),. Shimizu,K. 2) and Ishihama,A.
1)Nippon Institute for Biological Science,2)Nihon University School of Medicine,
3)Kitasato University
IUBMB Symposium on Genome Replication of RNA Viruses, Helsinki
,June 1-4,2002.
Abstract:RNA polymerase of influenza virus is composed of three viral P proteins (PB1,PB2 and PA) and involved in both transcription and replication of the RNA genome.We have established a simultaneous expression system of three P proteins in various combinations using recombinant baculoviruses,and isolated the 3P complex and two kinds of the binary complex,PA-PB1 and PB1-PB2.The affinity-purified 3P complex showed all the catalytic properties characteristic of the transcriptase.The PB1-PB2 binary complex showed essentially the same catalytic properties as does the 3P complex,whereas the PA-PB1 complex showed catalytic speficities of the RNA replicase.Taken together we propose that the catalytic specificity of PB1 polymerase is modulated to the transcriptase by binding PB2 or the replicase by interaction with PA.

28.

インフルエンザウイルスの転写装置と複製装置:インフルエンザウイルスRNAポリメラーゼの機能特異性変換

本田文江1),2)、水本清久3)、岩田晃1)、清水一史2)、石浜明1)
1)日本生物科学研究所、2)日本大学医学部、3)北里大学薬学部
第50回 日本ウイルス学会

要旨:インフルエンザウイルスRNAポリメラーゼは、PA、PB1、PB2の3種類ウイルス蛋白からなり、ゲノムRNAの転写と複製の両過程に関与している。組換え体バキュロウイルスを利用し、各P蛋白発現系を確立し、3P複合体、2P複合体の単離し、それらの機能特異性を調べた。PA-PB1複合体が複製酵素の特異性を、PB1-PB2複合体が転写の特異性を示した。この観察を基盤に、転写一複製変換に関与すると我々が推測する宿主因子の役割を推測した。

29.

インフルエンザウイルスRNAポリメラーゼ:転写酵素と複製酵素の機能形態

本田文江1),2)、水本清久3)、岩田晃1)、清水一史2)、石浜明1)
1)日本生物科学研究所、2)日本大学医学部、3)北里大学薬学部
第25回 日本分子生物学会

要旨:組換え体バキュロウイルスを利用して構築した発現系を利用して単離したPA-PB1複合体が複製酵素の特異性を、PB1-PB2複合体が転写の特異性を示すことを発見した。この結果から、転写一複製変換に関与する宿主因子は、3P複合体中のPAまたはPB2サブユニットの機能を制御することで、転写装置または複製装置の特異性を付与していると推論した。

30.

最新の動物ワクチンの動向

上田進
日本生物科学研究所
第6回 日本ワクチン学会
要旨:動物ワクチンには、食料としての家畜の生産性向上を衛生面で支える家畜用ワクチンと、伴侶動物 (犬,猫など) を感染症から防御するためのペット用ワクチンとがある。最近では、これらに加えて魚病ワクチンがある。家畜用ワクチンの使用は、家畜生産の費用対効果と密接不可分で、ワクチン接種の省力化を計るために、多種多価混合型のワクチンが開発されるとともに、卵内接種法が開発され、イノボジェットと呼ばれる機械で、短時間に多量のワクチン接種が可能になってきている。また、このような新たな接種方法に適したワクチンの開発研究が進んでいる。その一つに、ウイルスをベクターに用いた組換えワクチンがあり、他にDNAワクチンがある。DNAワクチンは流通においてコールドチェーンを必要とせず、製造コストも安く、移行抗体の影響も受けにくいという利点があり、開発研究に凌ぎを削っているが、未だ製品化には至っていない。動物ワクチンに対する要望として、接種の省力化と免疫の長期に渡る持続とがある。これらの要望を満たすべく動物の免疫機構について、そして、微生物、原虫などについて抗原分析をはじめとする研究が行われるとともに、アジュバントの研究が進められており、これらの分野の研究成果を総合したものが動物ワクチンとして製品化されている。動物ワクチンの開発研究は、対象動物を実験に使用できる利点があるが、対象動物が多いために、開発、研究されているワクチンの種類も多く、全てについて具体的に網羅することは難しいので、いくつかの具体例のなかで動物ワクチンの動向を示したい。

31.

Functional modulation of RNA polymerase for bacterial differentiation.

Ishihama,A.
Nippon Institute for Biological Science & National Institute of Genetics
The 7th Asian Conference on Transcription (ACT-VII),Malaysia,July 23-27,2002.

Abstract:Morphological and physiological changes take place during the growth transition of E.coli from exponential to stationary phase.During this bacterial differentiation,more than 100 stationary phase-specific genes are expressed sequentially (1).Such a marked change in the gene expression pattern is accompanied with alteration in the activity and specificity of both transcription and translation apparatus.For instance,we found that both the intracellular levels and the activities of all seven sigma factors and about 150 transcription factors vary for the functional modulation of RNA polymerase core enzyme.To get insight into the relationship between the cell differentiation,the alteration in gene expression pattern and the modulation of transcription apparatus,use of homogenous cell populations with respect to the stage of cell differentiation is important.After extensive attempts,we succeeded,by using Percoll gradient centrifugation,the fractionation of E.coli cultures into more than 20 populations,each representing a specific stage of the cell differentiation (2),and found a number of morphological and molecular markers characterizing each cell population.

32.

転写装置の構造・機能と形成機能

石浜明
日本生物科学研究所;国立遺伝学研究所
第75回 日本生化学会総会パースペクティブレクチャー、2002年10月、京都
要旨:転写は生物ゲノムの遺伝情報発現の第一次反応であり、RNAポリメラーゼは転写装置の基幹構成要素である。一般にRNAポリメラーゼのゲノム当りの総分子数は、ゲノムの全遺伝子数より多くはない。従って、ゲノム中で転写をされる遺伝子は、転写装置によって選択され、遺伝子発現パターンの変動は、転写装置の遺伝子間での分配様式の変動に起因すると考えられる。RNAポリメラーゼが、遺伝子プロモーター選択特異性の異なる多種類の転写装置へと機能分化をする機構とその制御の全体像について、原核生物・大腸菌と、真核生物・分裂酵母を素材とした、吾々の研究成果を基礎に紹介し、今後の攻究課題を提案したい。

33.

Regulatory modes of the metal regulons in Escherichia coli

Ishihama,A.
Nippon Institute for Biological Science & National Institute of Genetics
The 2nd Symposium on Chemical Biology of Metal Sensors with Switching Functions,Kyoto,October 18,2002.

Abstract:Bacteria are directly exposed to various species of metals in environments,but the intracellular concentrations of free metals are strictly controlled to maintain homeostasis.Numerous attempts have been made to identify the genes involved in controlling metal levels in bacteria,and our knowledge of the mechanisms and systems that control uptake and export of metals has progressed to certain extents.In contrast,however,relatively little is known on the regulatory mechanisms underlying the formation of uptake and efflux machineries of metal ions.We have then initiated systematic studies of all the metal regulons in Escherichia coli.Our approach includes the identification and characterization of the regulatory proteins in each metal regulon,the analysis of action mechanisms of these transcription factors,the identification of genes and promoters under the control of each transcription factor,and the determination of intracellular levels of these transcription factors.As an example of the E.coli metal regulons,we describe here the Mg(II)-response regulon,which responds to the availability of external Mg(II).This regulon is under the control of transcription factor PhoP,which is a response regulator of the PhoQ-PhoP two-component system.Phosphorylated form of PhoP binds to the PhoP box consisting of a direct repeat of the heptanucleotide sequence (T)G(T)TT(AA) and thereby activates or represses transcription initiation of a number of Mg(II)-response genes.For transcription activation or repression,PhoP interacts with either the C-terminal domain of a subunit or the C-terminal domain of s subunit depending on the site of PhoP box relative to the respective promoter.Thus,PhoP is a member of the class-I/-II transcription factor family.Studying the metal regulons gives us important insights into bacterial processes to environments.

34.

大腸菌が増殖をやめるときの遺伝子制御プログラム

石浜明
日本生物科学研究所;国立遺伝学研究所
第25回 日本分子生物学会年会・ワークショップ「プログラム死:単細胞生物からの展望」、2002年12月、横浜
要旨:自然界の大腸菌は、宿主動物を離れてもさまざまの環境で生存できるが、大方は、増殖をしない静止定常期にいる。分子生物学のモデル生物・大腸菌でさえ、こうした自然界の生存機構については、我々は殆ど無知である。大腸菌ゲノムの遺伝子約4,000のうち、その生理的機能の推定が出来るのは半分にも満たない事情は、大腸菌の分子生物学的研究が、実験室培養の増殖細胞を使って行われてきた事情と関係している。ゲノムの全貌が解った後の新時代の大腸菌研究を開始する出発として、我々は先ず、大腸菌が増殖を停止し、静止定常期に移行する過程に作動する遺伝子プログラムの解析を開始した。定常期移行過程の大腸菌の分化形質、発現遺伝子パターンの動的変換を要約し、大腸菌分化の遺伝子制御プログラムについて推論したい。

35.

Dynamics of Escherichia coli community:An approach to reveal global regulation of transcription of 4000 genes on the genome

Ishihama,A.
Nippon Institute for Biological Science
International Workshop of E.coli Genomics,Awaji,March,2003.

Abstract:During transition of E.coli growth from exponential to stationary phase,marked changes take place in the cell shape,cell surface structure,nucleoid conformation,cytosol composition,and gene expression pattern.A number of the stationary-phase genes are involved in these processes.The growth phase-coupled alteration in gene expression pattern depends on the changes in activity and specificity of both transcription and translation apparatus.In order to determine the order of differentiation-associated molecular events,we fractionated random E.coli cultures into homogenous cell populations by using Percoll gradient centrifugation.The success was based on the discontinuous increase in cell buoyant density with the advance in cell age.For each step of the cell differentiation,a specific set of the genes appear to be involved,each leading to generate molecular markers characteristic of each cell population.

36.

トランスジェニックラット精巣上体精子の凍結保存および融解精子の人工授精成績

滝澤明子1)、石川孝之3)、中務胞1)、添田智子1)、猪俣智夫2)、紫野正雄1)、上田進3)
柏崎直巳1)
1) 麻布大・動物応用動物繁殖、2) 麻布大・獣医実験動物、3) 日本生物科学研究所

第100回日本畜産学会
要旨:【目的】トランスジェニックラット(TG)ラット精子の効率的な保存法の開発を目的に、ラット成長ホルモンアンチセンス遺伝子導入ラット(miniラット)精子を凍結保存し、融解精子の子宮内人工授精成績を調べた。さらに、得られた産子への導入遺伝子の伝達について解析した。【方法】既報のラット精子凍結保存法(Reproduction 122,463-467,2001)に準じ、8匹のminiラットの精巣上体精子を液体窒素中で2週間以上保存した。融解精子の人工授精には、精管結紮処置雄と自然交配させた偽妊娠雌(Wister)を用い、外科的に両側の子宮角上部に精液を50μl注入した。授精後21日目に帝王切開し、胎児数および着床痕を調べた。さらに、これらの産子からゲノムDNAを抽出しPCRにより導入遺伝子の産子への伝達を解析した。【結果】全ての雄の凍結保存精子は、融解後運動性を有していた。このうちの3匹の凍結精子を各々4-5匹(計14匹)の偽妊娠雌へ注入した。その結果、8匹が妊娠し、生存産子21匹が得られた。また、全ての産子で導入遺伝子が確認された。【考察】以上の結果から、ラット精巣上体精子凍結保存技術がTGラットの効率的な保存法として有用であることが明らかになった。

37.

Actinobacillus pleuropneumoniae-RTX-細胞毒素(Apx)を用いたワクチンの開発

長井伸也
日本生物科学研究所
第133回 日本獣医学会

要旨:背景:RTX(repeats in the structural toxin)ファミリーの細胞毒素は、分子内に類似のアミノ酸配列(L-X-G-G-X-G-N/D-D-X)のタンデムリピートを有する、グラム陰性菌に広く分布する外毒素の一群である豚胸膜肺炎の原因菌であるActinobacillus pleuropneumoniaeは、ApxⅠ、Ⅱ及びⅢと呼ばれる3種類のRTXを産生する。これらは本菌の溶血性/細胞毒性に関与し、主要な病原因子となっている。無毒変異型細胞毒素(rApx)の作出:RTXでは一般に、毒素分子をアシル化して活性を発現させる活性化遺伝子(C)が構造遺伝子(A)の上流に存在する。C遺伝子を除去してA遺伝子だけを発現させた時、毒素活性は示さないが、免疫すると中和抗体を誘導できる抗原タンパク質が得られた。rApxを利用したワクチン開発:不活化全菌体を主成分とする従来型ワクチンにはその安全性と有効性に関して問題点が存在し、これらを克服する新型ワクチンの開発が望まれていた。そこで、rApxⅠ、Ⅱ及びⅢと3つの血清型の不活化菌体と組み合わせた6成分からなる新型ワクチンを作製した。本ワクチンは副反応を惹起せず、従来型に比べて格段に高い防御効果を示すことが判明した。野外飼養豚を用いた臨床試験では、本ワクチンの注射により胸膜肺炎に対する治療回数が減少し、屠場検査で胸膜肺炎病巣が減少する等、明らかな有効性が認められた。これらの成績から、本ワクチンはわが国で最初の遺伝子組換え型動物用ワクチンとして平成10年8月に農林水産省より製造承認を受け、現在は本病の制御に広く用いられている。

38.

Eimeria necatrix特異的ELISA抗原の発現

田嶋修、大永博資、中村俊博
日本生物科学研究所
第133回 日本獣医学会

要旨:鶏コクシジウム症の確定診断や、コクシジウム症生ワクチンの有効性評価としては、糞便検査によるオーシストの検出が一般的である。しかし、多検体の処理を行うには手技が煩雑であり、実施には熟練を要するなどの問題点がある。そこで、多検体検査を簡便に行うために、Eimeria necatrixに対する抗体を検出し得る、特異的な遺伝子組み換え蛋白質を抗原としたELISA法の確立を試みた。E.necatrixメロゾイトのmRNAからcDNAライブラリーを作製し、E.necatrix感染鶏血清を用いてイムノスクリーニングを行った。得られた9つの陽性クローンは、すべて同一の遺伝子をコードする長さの異なるものであった。最長のクローンを大腸菌で発現させた蛋白質は、ウエスタンブロッティングで鶏抗E.necatrix抗体に強く反応した。鶏抗体には大腸菌成分と反応するものも多く含まれるため、バキュロウイルスで同遺伝子断片を発現させた蛋白質を抗原としたELISAを開発した。E.necatrix早熟株(Nn-P125株)投与群と市販の日生研鶏コクシ弱毒3価生ワクチン(E.tenella,E.acervulina,E.maxima3種の早熟株を含む)投与群の血清を測定したところ、前者には強く反応したが、後者にはほとんど反応しなかった。Nn-P125株投与による血清抗体価の経時的変動を調べた結果、投与3週後に最大値を示し、その後徐々に減少した。また、強毒株による攻撃試験では、攻撃2週後に血清抗体価の著しい上昇が認められた。以上の結果より、本ELISA法は、E.necatrix生ワクチンの有効性評価および感染症の血清診断において有用であると考えられる。

39.

弱毒Eimeria necatrix試作生ワクチンの安全性および有効性

大永博資、田嶋修、中村俊博
日本生物科学研究所
第133回 日本獣医学会

要旨:【背景・目的】急性小腸コクシジウム症はEimeria necatrixの感染により主に種鶏の中雛期以降、時には成鶏においても起こり、しばしば甚大な被害をもたらす。国内には本種に対するワクチンは未だ存在せず、開発の要望は極めて高い。著者らはE.necatrix早熟株(Nn-P125株)の生ワクチンとしての製剤化を進め、試作ワクチンの安全性と有効性を確認したので報告する。【材料と方法・結果】試作ワクチンの用法及び用量は3日齢~4週齢ヒナに1羽当たりNn-P125株オーシストを約100個飼料混合投与することとした。安全性試験においては、8日齢ヒナに1または100ドース/羽投与し、平飼で5週間観察したとき、増殖したワクチン株オーシストの糞中への排出が観察されたが、臨床的異常および増体への影響は全く認められなかった。一方、4ヵ所の種鶏場で実施した臨床試験において、ワクチン投与群に臨床的異常はなく、増体への影響も認められなかった。有効性については、実験室内試験で投与4週後の強毒株攻撃に対してヒナが防御されたことにより確認された。臨床試験ではE.necatrixによる発病がなかったこと、ならびに投与後8~11週の間に抜き取られた鶏が強毒株に対して防御を示したことから実証された。以上の実験室内試験および臨床試験より本ワクチンの安全性と有効性が確認された。【謝辞】本野外試験は、社団法人・動物用生物学的製剤協会、平成11年度事業「輸入ワクチン等有効活用事業」の一課題として実施された。

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