研究成果03

誌上発表

誌上発表2010年(平成22年)

10.

ケージ飼育鶏におけるコクシジウム生ワクチン点眼投与の応用.

川原史也、林志鋒
日本生物科学研究所
鶏病研究会報 46巻:95-99、2010年
要約:糞便やオーシストとの接触を避けてケージ内で飼育される採卵鶏においても、鶏コクシジウム症の被害が問題となっている。そのため、採卵鶏は多くの場合10週齢まで抗コクシジウム予防剤を飼料添加される。一方、11週齢以降においては直接的な予防法はなく、コクシジウム生ワクチンを用いた対策法の確立が望まれている。コクシジウム生ワクチンの投与方法はこれまでに飼料混合投与法を始め、多岐にわたり確立されている。そのうち、点眼投与法は採卵鶏において他のワクチンでも応用されている均一かつ確実に投与する最も適した方法の一つであるが、まだ日本国内で承認されたコクシジウム生ワクチンはない。そこで、今回、国内で市販されている製剤を用いてケージ飼育鶏における点眼投与試験を実施した。免疫群は、Eimeria acervulina、E. maximaおよびE. tenella強毒株オーシストによる攻撃後の臨床症状発現の軽減、増体率および腸管病変スコアの改善が認められ、特に2回免疫群でその効果は顕著であった。ケージ飼育鶏においても、本ワクチンの投与により良好な免疫を付与できることが示唆されたため、本法は採卵鶏におけるコクシジウム症の制御に有用であると期待される。

11.

動物用ワクチン-その理論と実際-、鶏コクシジウム感染症(アセルブリナ・テネラ・マキシマ)混合生ワクチン、鶏コクシジウム感染症(ネカトリックス) 生ワクチン.

川原史也(分担執筆)
動物用ワクチン-バイオ医薬品研究会編、2010年

12.

鶏コクシジウム症、コクシジウム病、牛のクリプトスポリジウム症、牛のベスノイティア症.

川原史也(分担執筆)
動物の感染症第三版、2010年

13.

鶏コクシジウム症ワクチンの現状と将来.

川原史也
日本生物科学研究所
家畜衛生学雑誌、36 61-65、2010
要旨:おそらく、我々は鶏コクシジウム原虫(以下、鶏コクシ原虫)をいつまでも根絶することはできない。鶏コクシ原虫は、もとより鶏と周辺環境に適応して進化を遂げている上に、その生態は現在の集約的な養鶏生産に極めて良く適合しているためである。しかしながら、我々は鶏コクシジウム症(以下、鶏コクシ症)の発生ならば制御することができる。先人達の優れた研究により実用化された、鶏コクシ症生ワクチン、抗コクシジウム予防剤(以下、予防剤)および治療剤が今や利用できるからである。実用化されてからすでに長くの年月を経ているが、未だにそれらの多くは有用性を堅持し続けている。では、何故、鶏コクシ症の問題は無くならないのであろうか。鶏コクシ原虫、鶏コクシ症に立ち向かう、いくつもの策を我々は持っているのにもかかわらず、完璧に制御できていると言えるような状況ではない。本フォーラムでは、鶏コクシ症対策における現状およびその問題点の分析、ならびに今後どうすれば克服していけるのか、新たな戦略について概観してみたい。

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