1. |
イヌの末梢血単核球においてIFN-γを誘導するCpG-ODNsの検索
蔵田圭吾1)
、岩田晃2)
、阪口雅弘3)
、増田健一1)
、大野耕一1)
、辻本元1)
1)
東大・獣医内科、2)
日本生物科学研究所、3)
国立感染症研究所
第135回 日本獣医学会(2003年)
要旨:CpGモチーフを含む合成オリゴヌクレオチドDNA(CpG-ODNs)は、マウスやヒトにおいてIFN-γおよびIL-12を誘導することが知られている。しかし、CpG-ODNsの反応性には種特異性があることが知らており、犬においてTH1サイトカインを誘導する配列は明らかとなっていない。そこで、本研究では、12種類のCpG-ODNsを合成し、犬の末梢血単核球(PBMC)におけるTH1サイトカインを誘導する配列を検索した。12種類のCpG-ODNsで刺激したPBMC中のIFN-γmRNAの発現を定量的リアルタイムPCR法で、またPBMC培養上清中のIFN-γをELISAを用いて測定した。コントロールとして、無刺激のPBMCを用いた。その結果、2種類のCpG-ODNsが有意に高いIFN-γ誘導能を示した。また、この2種類のCpG-ODNsのCpGモチーフをGpCに変換したコントロールODNs(GpC-ODNs)を作製し、IFN-γ誘導能を比較した結果、No.2のCpG-ODN(5'-GGTGCATCGATGCAGGGGGG-3')はCpGモチーフ依存性に、有意に高いIFN-γを誘導することが明らかとなった。さらに、このCpG-ODNは、PBMCにおいてIL-12p40mRNAの発現を有意に増強することが明らかとなった。また、このCpG-ODNによるIL-4、IL-12p35、IL-18のmRNAの発現増強は認められなかった。以上の結果から、No.2のCpG-ODNは、犬においてTH1サイトカインを誘導する配列であることが明らかとなった。今後、このCpG-ODNはアレルギー性疾患や腫瘍に対する新規治療法への応用が期待される。
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2. |
豚初代培養肝細胞における豚サーコウイルス2型(PCV2)の増殖性
平井卓哉、布谷鉄夫、伊原武志、劉長明
日本生物科学研究所
第135回 日本獣医学会(2003年)
要旨:【背景と目的】PCV2感染豚にみられる病変はリンパ組織球性~肉芽腫性リンパ節炎、間質性肺炎、肝炎、腎炎、心筋炎、腸炎、膵炎などである。PMWSの野外例および実験例にはしばしば重度の肝臓病変が認められ、肝細胞がPCV2感染増殖の場の一つであることを示している。そこで、我々は豚の初代培養肝細胞においてPCV2の増殖性を調べ、他の培養細胞のそれと比較・検討した。【材料と方法】3日齢の子豚を麻酔下にて開腹し、門脈にカニュレーションした。肝灌流液にて脱血後、コラゲナーゼ溶液を灌流し肝臓を摘出した。肝組織を5%FCSを添加したPBS中で細切・分散させ、低速遠心ならびにナイロンフィルター濾過により単離細胞浮遊液を得た。10%FBS、EGF、インスリン、デキサメタゾンを添加したWE培地を用い、コラーゲンコーティングディッシュで培養した。培養1日後にPMWS罹患豚臓器乳剤(PCV2感染価,約104TCID50/ml)を感染させ、接種後2、3、4日目に採材し、ウイルス抗原および遺伝子の検出と電顕検索を実施した。対照として豚腎由来(SK)細胞を同様に感染させ検索した。【結果と考察】初代培養肝細胞におけるウイルス抗原は接種後2日で最も多くの細胞の、主に核内全域と核周囲細胞質で多量検出された。SK細胞では接種後3日目に抗原が最も多く、ほぼ同様なパターンで観察されたが、陽性細胞数は肝細胞に比べて明らかに少なかった。以上のことより、豚初代培養肝細胞はPCV2に対して感受性を示し、それはPMWS罹患豚の肝臓にみられるPCV2の増殖性を裏づけていた。
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3. |
鶏のコクシジウム症
大永博資
日本生物科学研究所
第135回 日本獣医学会(2003年)
要旨:鶏のコクシジウム症は原虫寄生による腸炎であり、通常、ブロイラーおよび種鶏で発生し、飼料要求率の低下、死亡率の上昇、産卵率の低下などを起こす養鶏産業における重要疾病である。原虫は7種類が知られているが、病原性が強く、産業上問題視されるものはEimeria tenella、E.acervulina、E.maximaおよびE.necatrixである。前の3種はブロイラー及びその他の鶏種においてごく一般的であるが、E.necatrixによる発病は長期間の飼育鶏で中雛期以降に見られる。原虫の蔓延は世界中に及び、原虫の諸性状特に感染源となるオーシストの諸種消毒剤に対する抵抗力の強さから絶滅のはなはだ困難な疾病と理解されている。診断は、血便、臨床症状、腸の病変、オーシスト排泄状況などにより実施されるが、分離した原虫種の同定等に関しては最近PCRが使用できるようなった。また、E.necatrixの感染確認については組換え蛋白抗原を用いた特異的ELISAが開発されている。本病予防には良好な衛生管理が不可欠であり、これに加え、ブロイラーでは飼料添加の予防剤、主にイオン透過担体抗生物質が広範に用いられている。しかし新薬開発の困難性から、今後多品目の出現は望めず、これに反し、諸種の生ワクチンが登場している。国内でも、6年前からEimeria tenella、E.acervulina、E.maximaの弱毒株を用いた3価生ワクチンが一部のブロイラーに使用されてきた。また最近、E.necatrixに対する弱毒生ワクチンも開発され、実用に供しうることとなった。
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4. |
南九州に発生した伝染性ファブリキウス嚢病の病鶏から分離したウイルスの性状
林志鋒、内谷友美、中村俊博
日本生物科学研究所
第135回 日本獣医学会(2003年)
要旨:2002年8月から11月にかけて、南九州で高率の死亡あるいは大腸菌症を伴う伝染性ファブリキウス嚢病(IBD)が頻発した。発生農場8症例のファブリキウス(F)嚢から、RT-PCRによりIBDウイルス(IBDV)遺伝子が検出された。各症例由来増幅DNAについて、VP2遺伝子可変領域の8種の制限酵素による切断断片長の多型性を解析した。その結果、症例1~5及び7由来DNAの切断パターンは1990年分離の高度病原性株のそれと類似し、症例6及び8由来DNAの切断パターンは1992年分離の従来型病原性株のそれと一致した。IBDVの主要中和エピトープを認識するモノクローナル抗体は、検出された全ての材料と反応し、抗原の同一性が確認された。症例1(02-01株)及び症例8(02-08株)各々のF嚢乳剤を5週齢のSPF鶏に経口投与してその病原性を調べた。02-01株を投与された鶏では、全羽が発症、80%が死亡し、剖検で筋肉の出血、F嚢の腫大・出血・水腫、腎臓の褪色などが認められた。一方、02-08株を投与された鶏では、死亡例はなく、20%が軽度の臨床症状を呈したが、剖検で全羽にF嚢の萎縮あるいは水腫が認められた。これらの結果から、02-01株は高度病原性株、02-08株は従来型病原性株であることが確認された。市販IBD生ワクチン(MB-1・E株)で免疫された鶏及び非免疫鶏を用いて、02-01株の攻撃試験を実施したところ、非免疫群は全羽発症、73%が死亡したのに対し、免疫群では臨床的異常が全く認められず、100%の防御が成立した。このことから、上記ワクチンは02-01株に対して有効であることが確認された。
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5. |
組換えネコ顆粒球コロニー刺激因子の小動物臨床への応用
岩田晃1)
、倉茂晃子2)
、山元哲1)
、辻本元2)
1)
日本生物科学研究所、2)
東京大学大学院農学生命科学研究科
第135回 日本獣医学会(2003年)
要旨:小動物の癌治療においては抗がん剤投与による骨髄抑制が深刻な問題である。ヒトにおいては二次感染を防止するため、顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)が補助剤として臨床応用されている。ヒト用のG-CSF製剤は短期では効果があるが、長期投与では中和抗体が誘導され、投与G-CSFのみならず、内因性G-CSFの作用まで抑制されることが報告されている。我々はネコG-CSFを好中球減少時の治療薬として実用化することを目標に遺伝子をクローニングし、N末端にヒスチジンヘキサマーを含むペプチドを付加して、大腸菌で発現させた。Ni-NTAカラムにより精製したネコG-CSFは分子量約2万のタンパク質が主成分であった。50μgタンパク質、生物活性で10~20万単位を1バイアルとし、以下の健康ネコを用いた実験では1バイアル/日/頭で投与した。11日間の連続投与では、末梢血中の好中球数の顕著な増加のほか、単球等の増加も観察された。この間、体温上昇等の臨床症状は観察されず、また、投与終了時に採血した血清でウエスタンブロッティングを行ったが、抗体は検出限界以下であった。4日間の連続投与で骨髄のM/E比の上昇を認め、顆粒球系前駆細胞の増殖・分化が顕著であった。健康ネコにサイクロフォスファマイド300mg/m2を2日間連続投与すると5、6日後に末梢血中の白血球数が低値となるが、G-CSFの2日間連続投与により末梢血中の好中球数の回復が認められた。このとき、骨髄中の顆粒球系前駆細胞の増加は認められなかったことから末梢血中の血球の増加は骨髄プールからの放出によると思われた。これらの健康ネコを用いた実験により組換えネコG-CSFの有用性が確認された。
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6. |
日本ウズラにおける純白卵殻色の遺伝子分析
水谷誠、藤原哲
日本生物科学研究所
第101回 日本畜産学会(2003年)
要旨:【目的】白卵系(WE系)およびセラダン色卵を産むGUC系との交配群において光沢のある純白卵殻卵(以下純白卵)を産む個体が出現した。本報告はこの純白卵の遺伝子分析の結果である。【方法】この純白卵は白卵(常染色体性劣性)およびセラダン(常染色体性劣性)両遺伝子がホモの状態で出現すると思われた。そこで、純白ホモ系(WC系)を作出し、WC×WEおよびWC×GUCの雌雄正逆交配を行ない、後代における雌の卵殻色の出現頻度を観察した。【結果】WC×WEおよびWE×WCの各交配からは白卵を産む個体のみがそれぞれ183、154得られた。次に前述の交配に用いた同一のWC系の個体を用いたWC×GUCおよびGUC×WCの各交配からはセラダンを産む個体のみがそれぞれ170、25得られた。これらの結果は、純白卵は白卵およびセラダン両遺伝子がホモの状態で出現することを示した。なお、純白卵を雌に用いた場合は受精率および孵化率が低下することも判明した。
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7. |
AFLP法を用いたニホンウズラの連鎖地図作成
藤間大介1)
、菊地真一1)
、水谷誠2)
、万年英之1)
、辻 荘一1)
1)
神戸大農、2)
日本生物科学研究所
第101回 日本畜産学会(2003年)
要旨:【目的】ニホンウズラは食卵や食肉としてのみならず、実験動物やモデル動物として貴重である。しかし、同じ家禽のニワトリと比較しても遺伝的情報は乏しく連鎖地図も未だ作成されていない。本研究ではAmplified Fragment Length Polymorphism(AFLP)法を用いたニホンウズラの遺伝連鎖地図作成を目的とした。【方法】(財)日本生物科学研究所で維持されているニューロフィラメント欠損症系統(Quv系)のオスと筋ジストロフィー発症系統(LWC系)のメスで戻し交配により得られた戻し交雑家系(kobe-NIBS家系)50個体を利用した。AFLP法は定法に従い、制限酵素はEcoとMse、EcoとTaqの組み合わせを用いた。プライマーは3塩基選択的プライマーを用い、128セットを使用した。連鎖解析には解析プログラムMapmanager QTXb11を使用し、LOD score3の閥値で連鎖群を作成した。【結果】AFLP法で得られた多型マーカー数は741であった。さらに、ニューロフィラメント欠損症と筋ジストロフィー、性の表現型を併せて計744マーカーを用い連鎖解析を行った。連鎖解析の結果、703マーカーが47連鎖群を形成した。しかし、同一遺伝子座に位置した多型は385であったため、実質的なマーカー数は359であった。また、筋ジストロフィーの表現型を含む41マーカーが連鎖しなかった。今後、さらにマーカー数を増やし、連鎖解析を行う予定である。
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8. |
ニホンウズラMhcCoja領域に存在する反復配列の多型解析
細道一善1)
、椎名隆2)
、清水佐良子2)、水谷誠3)、原ひろみ1)
、吉田豊1)
、半澤惠1)
、
猪子英俊2)、渡邊誠喜1)
1)
農大農、2)東海大医、3)日本生物科学研究所
第101回 日本畜産学会(2003年)
要旨:【目的】A(高IgG)系およびB(低IgG)系ニホンウズラのMhcCojaⅠおよびⅡβにおける発現遺伝子座の解析の結果、少なくとも5つのHaplotypeが存在することが示唆された。そこでこのHaplotypeの簡便なMarkerとなるDNA多型を検索した。【材料および方法】東京農業大学家畜生理学研究室あるいは、日本生物科学研究所で飼育管理されている、A、B系ならびにAMRP、SBPN、PNN、TKP系個体の赤血球核由来DNAをTemplateとした。MhcCoja領域のContigより反復配列を検索し、その両端にPrimerを設計し、Coja haplotypeの異なる個体間および各系統間でPCR産物の断片長および塩基配列を比較した。【結果】A、B両系個体のTapasin遺伝子intron4のMicro satelliteDNAについて移動度の異なるPCR産物が確認された。このPCR産物はCoja領域のContigに認められた5塩基の11回繰り返し以外に、9および13回繰り返し配列を含み、Coja haplotypeとの関連が示唆された。また、AMRP、SBPN、PNN、TKP系においてさらに反復回数の異なる多型が確認された。
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9. |
わが国で発生した豚増殖性腸炎症例由来Lawsonia intracellularisの培養細胞における増殖とその特徴
小山智洋1)、平井卓哉1)、古岡秀文2)、長井伸也1)
1)日本生物科学研究所、2)帯広畜産大学・家畜病理
第136回 日本獣医学会(2003年)
要旨:【背景】豚増殖性腸炎は、偏性細胞内寄生細胞菌Lawsonia intracellularis(Li)を起因とする豚の腸管感染症である。罹患豚は、急性経過をたどると激しい血様下痢を呈して急死し、慢性例では持続性の下痢を伴って発育不良となる。我が国においても本疾病の存在は報告されているがLiの培養はなされておらず、これまでその性状は不明であった。【材料と方法】栃木県の1養豚場で血便を呈して瀕死となった160日齢の肥育豚を剖検し、その回腸を材料とした。腸管からの菌の回収、培養はLawson(1993)らの方法に基づき、株化細胞はIEC-18およびHEp-2を用いた。Li特異的PCRはJones(1993)の方法によった。【結果及び考察】供試豚の回腸粘膜は肥厚し、病理組織学的には回腸の腸陰窩の過形成と陰窩上皮細胞の有糸分裂像が多数みられ、Warthin-Starry染色により腸陰窩上皮細胞内に彎曲した短桿菌が多数確認された。さらに腸管粘膜及び腸内容からLi特異的遺伝子断片が検出され、これらの所見から本症例を増殖性腸炎と診断した。腸管粘膜から菌を回収し細胞へ接種したところ、培養液中に継続してLi遺伝子が検出され、継代を経て1.5カ月以上持続的に検出された。培養細胞の細胞質内には免疫染色により明瞭に染色されたLi菌体の存在が確認された。この菌の16SrDNAを増幅してその塩基配列を決定したところ、既報にあるLiNCTC12656T株の配列と100%一致した。我が国に浸潤しているLiを培養細胞を用いて増殖させ、その特徴付けを行うことが可能となった。
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10. |
バキュロウイルスで発現したイヌインターフェロンα1の効果
岩田晃1)、藤野美由紀1)、山元哲1)、佐藤一郎1)、金井朋子1)、土屋耕太郎1)、宗川吉汪2)
1)日本生物科学研究所、2)京都工繊大
第136回 日本獣医学会(2003年)
要旨:【背景】インターフェロン(IFN)は抗ウイルス作用等多様な生物活性を持つサイトカインであり、近年、獲得免疫のみならず自然免疫の場でも種々の生体防御反応に関与していることが報告されている。イヌでは、α、β、γの3種がクローニングされているが、それらの解析は十分でない。我々は、第119回本学会でイヌIFN-α1の遺伝子のクローニングおよび発現を報告した。今回、ヒスチジンヘキサマータグ(His-tag)を利用して精製し、イヌに投与して効果を確認した。【材料と方法】イヌIFN-α1はC末端側にHis-tagを付加し、組換えバキュロウイルスで発現し、Ni-NTAカラムを用いて精製した。IFN活性はA72細胞と水疱性口内炎ウイルスを用いて測定し、LUで表示した。投与IFNの効果は2',5'オリゴアデニル酸合成酵素(OAS)タンパク質の誘導をWB法で検出することで確認した。【結果】組換えバキュロウイルスの感染培養上清中には約20μg/mlのイヌIFN-α1が発現した。アミノ酸配列から予想される分子量19.8kDaに比べ、発現タンパク質は26kDaと大きく、糖鎖の付加が予想された。Ni-NTAカラムを用いたイヌIFN-α1を1段階精製し、SDS-PAGEで純度約90%の標品を得た。このサンプルを2×106LU/kgでビーグル犬に皮下投与したところ、3~6時間後に一過性の体温上昇が見られ、また、8時間後にはOAS誘導が認められた。OASは4日間、高い値を維持していた。投与期間中、発熱以外に臨床所見は観察されなかった。【考察】バキュロウイルス系で発現したイヌIFN-α1は生体内投与でも活性を保持しており、イヌIFN-α1の生物活性の解析に重要なツールになると思われた。
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11. |
新しい馬インフルエンザワクチンの開発
山崎憲一1)、江副伸介1)、銀永明弘1)、井土俊郎2)、草薙公一2)、桐田政夫2)、山中隆史3)、
松村富夫3)、今川浩3)、杉浦健夫4)
1)化血研、2)日本生物科学研究所、3)JRA総研栃木、4)JRA馬事部
第136回 日本獣医学会(2003年)
要旨:【目的】我々は第134回本学会において、ヨーロッパ型馬2型インフルエンザウイルス(H3N8)の流行に対応するワクチン株としてAvesta/93が、発育鶏卵での増殖性、継代による抗原変異性、マウス及び馬に対する免疫原性及び交差反応性等の成績により最も適していることを報告した。そこで今回は、現行ワクチン株である馬1型(H7N7)のNewmarket/1/77及び馬2型La Plata/93にAvesta/93を加えた新しい馬インフルエンザワクチンを試作製造し、長期保存安定性試験及び馬注射試験を実施したので報告する。【材料と方法】試作ワクチンを3ロット製造し、製造直後及び製造後12か月目において、現行の動物用生物学的製剤基準に従い、規格試験(;特性、水素イオン濃度、無菌、ホルマリン、チメロサール、蛋白窒素、異常毒性否定、力価の各試験)を実施した。また、本試作ワクチンを軽種馬12頭に4週間隔で2回筋肉内注射し、各注射後2週間の臨床観察及び体温測定による安全性、ならびに免疫原性を検討した。【結果と考察】試作ワクチン3ロットは、製造直後及び製造後12か月目に実施した規格試験において、いずれも全ての試験に適合した。馬注射試験では、注射後の発熱、局所反応等は認められず、また、馬インフルエンザウイルスAvesta/93に対するHI抗体価は幾何平均で34倍と有意な上昇を認めたことから、本試作ワクチンの馬に対する安全性及び免疫原性が確認された。【おわりに】本ワクチンは本年4月に製造承認申請を行い、2004年春に早期実用化が期待される。また、今後2001年に製品化した馬インフルエンザ・日本脳炎・破傷風3種混合不活化ワクチン中の馬インフルエンザウイルス抗原としてAvesta/93を含有させる必要がある。
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12. |
F1(AWE×WE)ウズラ胚を用いた17β-estradiol(E2),ethynylestradiol(EE)およびdiethylstilbestrol(DES)の性転換作用の比較
渋谷一元、水谷誠、佐藤一雄、板橋正文、布谷鉄夫
日本生物科学研究所
第136回 日本獣医学会(2003年)
要旨:いわゆる環境ホルモンの鳥類における内分泌撹乱作用を検証する新たなスクリーニング法として、演者らはF1(AWE×WE)ウズラ胚を用いた性転換試験法を開発し、この試験法がエストロジェン様作用の検出に有用であることを報告してきた(第53回ACVP)。今回は、本試験を用いてE2、EEおよびDESのエストロジェン様作用の程度を比較検討した。【材料と方法】用いたF1(AWE×WE)ウズラは、ニホンウズラのAWE系(アルビノ系、白色羽装)雄とWE系(野生色羽装)雌の交配によって得られ、十字遺伝によりF1の雄は野生色羽装、雌は白色羽装を示す。1群40~45個の孵卵直前(孵卵0日)の卵白内にE2、EEおよびDESをそれぞれ20、200および2,000ng/20μL投与し、対照群には溶媒(コーン油)のみ20μL投与した。孵卵16日に胚を肉眼的に観察し、生殖器を病理組織学的に検索した。【結果】対照群では全ての生存胚の遺伝的性別(羽装)と孵卵16日の生殖器の性別が一致していた。EE2,000ng群を除く他のE2、EEおよびDES投与群では羽装と肉眼的な生殖器の性別が一致していたが、EE2,000ng群では14羽の雄羽装を示す個体のうち6羽に右精巣の痕跡化および左精巣の卵巣様外観(雌化)が認められた。E2、EEおよびDES投与群の左生殖腺の卵精巣出現率は投与用量と相関しており、EEの出現率が最も高かった。左側の卵精巣の程度もEEが最も強く、次いでDES、E2の順であった。肉眼的に雌化と判断されたEE2,000ng群の6羽の左精巣の殆どの領域が卵巣組織で占められていたが、僅かに精巣組織が残存していたことにより雄と判断された。【考察】今回の結果から、本スクリーニング法が環境ホルモン様化学物質のエストロジェン様作用の検出およびその程度の検索に有用であることが示された。
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13. |
豚回虫の抗原性の所在に関する免疫組織化学的検討
高島美雪1)、井上武1)、岸川正剛2)、今井壮一3)、鹿江雅光1)、渡邊忠男1)、近江弘明1)、
長井伸也4)
1)東農大・家畜衛生、2)麻布大・環境保健・病理、3)日獣大・獣医寄生虫、4)日本生物科学研究所
第136回 日本獣医学会(2003年)
要旨:【目的】我々は第134回本学会において豚回虫雌成虫の各器官における抗原性について、ELISA法により検討を行い、その結果を報告した。豚回虫の抗原性については他にウエスタンブロッティング法などいくつかの報告がなされているが、虫体内の局在部位については十分な検討がなされていない。そこで今回、我々は豚回虫が自然感染した成豚の血清を用い、豚回虫成虫における抗原局在性について免疫組織化学的検討を行った。【材料および方法】免疫組織化学的検索を行うため、自然感染豚血清を用い、豚回虫の成虫を20%中性緩衝ホルマリン液および4%パラホルムアルデヒド液(pH7.4)で固定後、常法に従い、パラフィン切片ならびに凍結切片を作製した。これらを0.5%過酸化水素水加メタノールで内因性ペルオキシダーゼ除去後、一次抗体には豚回虫自然感染豚血清を用い、二次抗体にはHRP標識抗豚IgGを用いた。陰性対照として豚回虫非感染の豚の血清を一次抗体として用い、DABで発色させた後、メチルグリーンで核染色し、抗原の局在性の検討を行った。【結果および考察】子宮上皮および卵巣全体に豚回虫自然感染豚血清に対する強い反応が認められ、陰性対照血清においては全く反応しなかった。これより、卵巣内に多くの抗原が存在することが示唆された。今回の免疫組織化学的検索結果から、前本学会で報告した豚回虫雌成虫の各器官におけるELISA法の検討結果と一致する所見が認められた。
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14. |
バキュロウイルス発現系を用いた組み換え分泌性プリオンタンパク質の発現および性状解析
作道章一1)、浜石倫子1)、金井朋子2)、土屋耕太郎2)、西村拓也1)、佐伯圭一1)、松本芳嗣1)、
上田進2)、小野寺節11)
1)東大院・応用免疫、2)日本生物科学研究所
第7回 日本神経ウイルス研究会帯広大会(2003年)
要旨:プリオン蛋白質(PrP)の正常機能は充分に明らかにされていない。その理由の一つに、組織や細胞からの精製が非常に難しいということが挙げられる。Prusiner博士らの報告(Pan et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 1993)によると、100頭の正常ハムスター脳から、わずか数μgしかPrPは精製できないと報告されている。また、これまでに大腸菌、酵母、哺乳動物細胞、昆虫細胞などを用いて組み換えPrPの産生を試みた論文が報告されている。しかしながら、細胞内で蛋白が大量に産生されるとしばしば凝集するため、変性条件で精製を行わなければならず、機能解析には適していなかった。
そこで、本研究ではバキュロウイルス発現系を用い、glycosyl phosphatidyl inositol (GPI)アンカー付加シグナルを除いた組み換えPrP(bacMuPrP)を発現させ、培地に遊離されたbacMuPrPをnativeな条件で精製し、その性状解析を行なった。その結果、以下のような結果を得た。bacMuPrPは10mlの培地あたり1μg以上の収量、可溶性、monomeric formを形成、糖鎖はほとんど付加されていなかった。さらに、マウス脳から精製されたPrP(Brown et al., J Neurochem, 2001)や精製後Cu存在下でrefoldingさせた大腸菌発現組み換えPrP (Brown et al., Biochem J, 1999)はSuperoxide dismutase (SOD)様活性を持つことが報告されているが、bacMuPrPはSOD様活性を示さなかった。これらの結果から、bacMuPrPがマウスや大腸菌で産生されたPrPとは異なった性状を有している可能性が示唆された。
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15. |
ニホンウズラにおける純白卵殻色の遺伝子分析
水谷誠、藤原哲
日本生物科学研究所
日本畜産学会第101回大会(2003年)
要旨:【目的】白卵形(WE系)およびセラダン色卵を産むGUC系との交配群において光沢のある純白卵殻卵(以下純白卵)を産む個体が出現した。本報告はこの純白卵の遺伝子分析の結果である。【方法】この純白卵は白卵(常染色体性劣性)およびセラダン(常染色体性劣性)両遺伝子がホモの状態で出現すると思われる。そこで、純白ホモ系(WC系)を作出し、WC×WEおよびWC×GUCの雌雄正逆交配を行い、後代における雌の卵殻色の出現頻度を観察した。【結果】WC×WEおよびWE×WCの各交配から白卵を産む個体のみがそれぞれ183、154得られた。次に前述の交配に用いた同一のWC系の個体を用いたWC×GUCおよびGUC×WCの各交配からセラダンを産む個体のみがそれぞれ170、25得られた。これらの結果は、純白卵は白卵およびセラダン両遺伝子がホモの状態で出現することを示した。なお、純白卵を雌に用いた場合は受精率およびふ化率が低下することも判明した。
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16. |
AFLP法を用いたニホンウズラの連鎖地図作成
藤間大介1)、菊地真一1)、水谷誠2)、万年英之1)、辻荘一1)
1)神戸大農、2)日本生物科学研究所
日本畜産学会第101回大会(2003年)
要旨:【目的】ニホンウズラは食卵や食肉としてのみならず、実験動物やモデル動物として貴重である。しかし、同じ家禽のニワトリと比較しても遺伝的情報は乏しく連鎖地図も未だ作成されていない。本研究ではAmplified Fragment Length Polymorphism (AFLP) 法を用いたニホンウズラの遺伝連鎖地図作成を目的とした。【方法】(財)日本生物科学研究所で維持されているニューロフィラメント欠損症系統(Quv系)のオスと筋ジストロフィー発症系統(LWC系)のメスで戻し交配により得られた戻し交雑家系(kobe-NIBS家系)50個体を利用した。AFLP法は定法に従い、制限酵素Eco RlとMse l,Eco RlとTaq lの組み合わせを用いた。プライマーは3塩基選択的プライマーを用い、128セットを使用した。連鎖解析には解析プログラムMapmanagel QTXb11を使用し、LOD score3の閾値で連鎖群を作成した。【結果】AFLP法で得られた多型マーカー数は741であった。さらに、ニューロフィラメント欠損症と筋ジストロフィー、性の表現型を併せて計744マーカーを用い連鎖解析を行った。連鎖解析の結果、703マーカーが47連鎖群を形成した。しかし、同一遺伝子座に位置した多型は385であったため、実質的なマーカー数は359であった。また、筋ジストロフィーの表現型を含む41マーカーが連鎖しなかった。今後、さらにマーカー数を増やし、連鎖解析を行う予定である。
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ニホンウズラMhcCoja領域に存在する反復配列の多型解析
細道一善1)、椎名隆2)、清水佐良子2)、水谷誠3)、原ひろみ1)、吉田豊1)、半澤惠1)、
猪子英俊2)、渡邊誠喜1)
1)農大農、2)東海大医、3)日本生物科学研究所
日本畜産学会第101回大会(2003年)
要旨:【目的】A(高IgG)系およびB(低IgG)系ニホンウズラのMhcCojaⅠおよびⅡβにおける発現遺伝子座の解析の結果、少なくとも5つのHapltypeが存在することが示唆された。そこでこのHapltypeの簡便なMarkerとなるDNA多型を検索した。【材料および方法】東京農業大学家畜生理学研究室あるいは、日本生物科学研究所で飼育管理されている、A、B系ならびにAMRP、SBPN、PNN、TKP系個体の赤血球核由来DNAをTemplateとした。MhcCoja領域のContigより反復配列を検索し、その両端にPrimerを設計し、Coja haplotypeの異なる個体間および核系統間でPCR産物の断片長および塩基配列を比較した。【結果】A、B両系個体のTapasin遺伝子intron4のMicro satellite DNAについて移動度の異なるPCR産物が確認された。このPCR産物はCoja領域のContigに認められた5塩基の11回繰り返し以外に、9および13回繰り返し配列を含み、Coja haplotypeとの関連が示唆された。また、AMRP、SBPN、PNN、TKP系においてさらに反復回数の異なる多型が確認された。
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ニワトリCA3遺伝子のクローニングと発現解析
稲葉恭子1)、吉澤奏子1)、万年英之2)、菊地建機3)、水谷誠4)、辻荘一2)
1)神戸大院自然科学、2)神戸大農、3)国立精神神経センター、4)日本生物科学研究所
日本動物遺伝育種学会第4回大会(2003年)
要旨:【目的】ニワトリ遺伝性筋ジストロフィー(ニューハンプシャー413系)は40年以上前からその存在が知られているにもかかわらず、疾患原因遺伝子はまだ明らかにされていない。我々は連鎖解析の結果kら、この疾患遺伝子はニワトリ第2染色体q腕上に存在することを示唆した。また、比較染色体地図分析によりニワトリ第2染色体q腕とヒト第8染色体q腕の間でsyntenyが認められ、ヒト第8染色体q腕の機能遺伝子が本疾患原因遺伝子である可能性が示唆された。そこで本研究では、この領域に存在する機能遺伝子であるcarbonic anhydrase3(CA3)遺伝子のクローニングおよび発現解析を行い、疾患原因遺伝子であるか否かを明らかにすることを目的とした。【方法】マウスCA3プローブを用いてニワトリcDNAライブラリーからスクリーニングを行い、ニワトリCA3遺伝子の翻訳領域の全塩基配列を決定した。また、ノーザンハイブリダイゼーションにより、正常個体と疾患個体の筋肉組織間でCA3遺伝子の発現を比較した。【結果】ニワトリCA3遺伝子は262アミノ酸残基からなり、哺乳類(260アミノ酸残基)より長い配列を示すことが明らかになった。ヒトCA3との相同性は82.4%であった。CA3の筋肉部位ごとの発現を見たところ、胸筋、大腿二頭筋、大腿三頭筋では疾患個体のみで発現が見られ、大腿筋膜張筋、長腓骨筋では正常個体でより高い発現が見られた。本疾患では胸筋で主な症状が見られるため、CA3遺伝子が原因遺伝子である可能性が示唆された。また、他に疾患原因遺伝子があり、その影響によりCA3遺伝子が高発現している可能性も考えられる。今後、正常個体と疾患個体間でCA3遺伝子の翻訳、非翻訳領域の塩基配列を比較しその差異を調べることにより、原因遺伝子であるかどうかを確認することができると思われる。
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アポトーシス抑制性Bcl-2ファミリー遺伝子のLPS感作犬好中球における発現
佐野順一、加納塁1)、長谷川篤彦1)
日本生物科学研究所、1)日大・獣医臨床病理
第135回 日本獣医学会
要旨: 好中球は生体の非特異的免疫機構の一員で、感染防御において主要な役割を果たしているが、末梢血中の好中球はその半数が24時間以内にアポトーシスにより死滅する。ヒト好中球では、LPSによってアポトーシスが抑制されることが知られているが、アポトーシス制御の中心的役割を果たしているBcl-2ファミリーの発現については、検出方法の違いのためか異なった成績が報告されている。一方、犬Bcl-2ファミリーについてはほとんど検討されていない。そこで、犬のアポトーシス抑制性Bcl-2ファミリー遺伝子であるBcl-xL、Mcl-1、Bcl-2のクローニングおよびシークエンスを行い、これら遺伝子のLPS感作下の犬好中球における発現について、Real-Time PCRを用いて経時的に検討した。まず、RT-PCR法およびRACE法を用いて犬末梢血細胞から各遺伝子のcDNAをクローニングし、その塩基配列を解析した。Bcl-xL、Mcl-1のcDNAの長さは1252bp、2694bpで、推測されるアミノ酸数は233残基、350残基であった。犬Bcl-xLおよびMcl-1のアミノ酸配列はヒトとは99.6%と88.7%、マウスとは97.0%と75.7%、ラットとは97.9%と77.1%の相同性を有していた。また、Bcl-2については3'末端を含む688bpの配列を明らかにした。これら塩基配列をもとに発現解析用プライマーを作成し、LPS(100ng/ml)を加えて犬好中球を培養したところ、Mcl-1の発現が約30倍に増大した。また、Bcl-xLの発現は、感作前の約500倍と著しく増大したが、Bcl-2の発現はわずかであった。これらのことからLPSによる好中球のアポトーシス抑制にはBcl-xLが強く関与しているものと考えられた。
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トキシコキネティクスのデータを用いた非線形動態の解析
北條隆男 斎藤敏樹
日本生物科学研究所
第30回 日本トキシコロジー学会学術年会(2003年)
要旨:トキシコキネティクス(TK)のデータは一般に臨床的用量よりも高い用量を用いる毒性試験から得る。高投与量では吸収や代謝過程で飽和が起こり、非線形な体内動態を示す場合がある。そのような場合、TKにおいてはデータ数が多くないため、適切に動態学的パラメータが求められない。非線形な動態の解析には数値積分を用いたり、求めるパラメータ数を増やす必要性が生じる。本研究では、TKデータから得た血漿中薬物濃度プロファイルを用いて、同時解析により動態学的パラメータ(Ka、Vd、Vmax、Km)を求める方法を検討した。[方法]雌雄ラットにカフェイン(CA)を単回経口投与(10、40、80 mg/kg)した。経時的(0.5、1、2、4、8、24時間後)に採血し、血漿中CA濃度をLC/MSを用いて測定した。解析には消失に飽和を仮定した1-コンパートメントモデルを用いた。Runge-Kutta-Gill法による数値積分、Damping Gauss Newton法によるデータフィッティングを3投与量の血漿中CA濃度プロファイルに対して同時に行った。[結果と考察]解析の結果、単一モデルによる動態学的パラメータを算出できた。このパラメータを用いることにより、投与量を変えた場合や反復投与した場合の血漿中濃度推移をより正確にシミュレイションすることが可能であると考えられた。TKなどのように採血ポイント数が少ない場合でも動態学的情報を得ることができるため、有用な解析法であると考えられた。
Non-linear pharmacokinetic analysis using toxicokinetics data
Abstract:Data of toxicokinetics (TK) are obtained from the toxicity study, which is given higher dose than clinical dose.The process of the absorption and/or metabolism of a drug is saturated occasionally, resulting non-liner pharmacokinetics of a drug.In such case, pharmacokinetic parameters cannot be calculated appropriately, because there is few numbers of the data in TK.In analysis of non-linear pharmacokinetics, it is required to use numerical integration of simultaneous differential equations or to increase the number of parameters.In the present study, the method to obtain pharmacokinetic parameters was investigated by manner of simultaneous multi-line fitting using plasma concentration-time profiles in TK data.[Method] Caffeine (CA) was orally administered to male and female rats with a single dose (10, 40 and 80 mg/kg).Blood samples were collected sequentially (0.5, 1, 2, 4, 8 and 24 hrs) after the CA administration and plasma CA concentrations were measured by LC/MS. [Analysis] One-compartment open models postulated with Michaelis-Menten elimination kinetics were applied to the analysis.Simultaneous multi-line fitting to the plasma CA concentration-time profiles obtained from three doses was analyzed by a numerical integration using Runge-Kutta-Gill method and by a non-linear regression using Damping Gauss Newton method.[Result and Discussion] Pharmacokinetic parameters could be calculated by single model equation. Using these parameters, plasma concentration profile can be simulated more exactly in case of the other doses or multiple dosing.Even if the numbers of plasma samples are less in TK, pharmacokinetic data can be obtained by use of this analytical method.It is supposed that this method is applicable for TK data.When change of dose and multiple administrations were performed in this model, it was considered that plasma concentration-time profile could be simulated by these parameters.Therefore, this analytical method is useful to obtain pharmacokinetic parameters from few numbers of data in TK.
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ラットの卵巣腫瘤
渋谷一元
日本生物科学研究所
第44回 獣医病理学研修会
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Chick Pathology as the Useful Endpoint on Avian Reproduction Toxicity Test Using the Japanese Quail
Shibuya,K.,Sato,K.,Itabashi,M.,Wada,M.1) and Nunoya,T.
Nippon Institute for Biological Science, 1)Tokyo medical and Dental University
SETAC 24th Annual Meeting in North America.
Abstract:To investigate additional endpoints for screening of endocrine disruptors in birds, effects of 17 beta-estradiol (E2) on one-generation reproduction in the Japanese quails (Coturnix japonica) were assessed according to the avian reproduction toxicity test (OECD TG206). After the 2-week pre-treatment period, pairs of the 10-week-old Japanese quails were fed a phytoestrogen-deficient diet containing E2 at 0 (control), 10, 100, and 1,000 ppm for 6 weeks. E2 100 and 1,000 ppm treatments resulted in death 1 and 2 weeks after the treatment, respectively. Mortalities of male and female quails were 12.5% and 56.3% in E2 100 ppm treatment, 43.8% and 87.5% in E2 1,000 ppm treatment, respectively. No death was observed in the controls and E2 10 ppm treatment. E2 100 and 1,000 ppm treatments induced marked reduction in number of eggs laid 1 week after the treatment and subsequently the quails treated with E2 1,000 ppm laid no eggs. The quails treated with E2 100 ppm laid no fertile eggs 3 weeks after the treatment. Adult parameters such as clinical signs, body weight, and food consumption, egg parameters such as number of eggs laid, number of eggs with abnormalities, eggshell strength and thickness, early and late viabilities of embryos, and chick parameters such as normal hatchling rate, clinical signs, and viability and body weight at 14 days of age could not evaluate any influence of E2 10 ppm treatment, excepting for fertility of eggs collected at testing week-2 and 5. However, necropsy and histopathology of the chicks revealed marked effects of E2 10 ppm treatment on the reproductive organs, such as cystic dilatation of seminiferous tubules, decreased seminiferous tubles and increased interstitial cells in the testis, and decreased theca cells in the ovary. The present study suggests that additional pathological examinations of the reproductive organs in chicks become useful endpoints for screening of endocrine disruptors. (The present study was supported by the Ministry of Environment, Japan)
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